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第2回
「生命保険の非課税金額を上手に活用するためには?」
一般社団法人日本想続協会 代表理事/税理士 内田 麻由子
  ゴールデンウイークや母の日には、ご家族揃って楽しく過ごしたご家庭も多いことと思います。そんなお客様のお土産話をお聞きするのも、楽しいものですね。
  さて、生命保険の活用によって、効果的な相続対策が可能となることは、よく知られていることですが、今月は、生命保険の非課税金額を上手に活用するためのヒントをご紹介します。「非課税金額の活用により相続税を軽減できた事例」と、「お客様へご提案するときの注意点」についてみていきましょう。
● 生命保険の非課税金額の活用が相続対策に有効
  八重さん(80歳)は、5年前に夫を亡くしてから、現在は東京都内で一人暮らしをしています。4人の子どもたちはみな結婚しており、孫も9人います。
  八重さんの財産は、夫から相続した不動産2億円と預貯金1億円の合計3億円です。収入は、所有するアパートの家賃と年金が合計で年間600万円あります。生命保険には入っていません。というのも、八重さんは、「生命保険というものは、夫の死後の妻子の生活保障のためか、自分の年金づくりのために入るものだ」と思っており、自分は生命保険に入る必要はないと考えていたためでした。
  ところがある日、親しくしているファイナンシャル・プランナーから、「生命保険は相続対策にも使えるのですよ」と教えてもらった八重さん。来年(平成27年)から相続税が増税になると聞き、相続税がどのくらいかかるのかも気になります。そこで、相続に詳しい税理士に、財産の評価と相続税の試算をしてもらいました。すると現状の財産では、相続税は4,580万円になることがわかりました。
   <試算A(相続対策前)>
   相続財産  不動産2億円+預貯金1億円=3億円
   基礎控除  3,000万円+600万円×4人=5,400万円
   課税価格  3億円−5,400万円  =2億4,600万円
   相続税の総額 4,580万円
※平成27年1月以降の相続として試算しています
  生命保険の活用に視点を移してみましょう。八重さんの場合、法定相続人は子ども4人ですので、生命保険の非課税限度額が「500万円×4人=2,000万円」となります。
  この非課税金額を活用して、預貯金1億円のうち非課税金額と同額の2,000万円で一時払終身保険に加入した場合には、相続税はどのくらい軽減できるのでしょうか。
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