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第4回
「生命保険は代償金の原資として使える!」
一般社団法人日本想続協会 代表理事/税理士 内田 麻由子
  中小企業白書(2014年版)によると、小規模事業者のうち「事業を何らかの形で他者に引継ぎたい」と考えている人が約4割いる一方で、「自分の代で廃業することもやむを得ない」と考えている人が約 2 割もいるそうです。経営者の高齢化が進むなか、後継者不足が大きな課題となっています。
  今月は、そのような社会情勢のなかでも、後継者に恵まれたご主人の相続対策の事例をみてみましょう。
● 長男への事業承継、どうすればいいの?
  源蔵さん(60歳)は、妻・長男とともに、鎌倉で和菓子店を営んでいます。昔ながらの手づくりの和菓子は、地元の人や観光客に喜ばれています。小さいころから両親の背中を見て育った長男は、東京の大学を卒業後、源蔵さんの知り合いの店で5年間修業し、3年前から後継者として和菓子づくりと経営を学んでいます。後継者がおらずに廃業する同業者もいるなか、源蔵さんは「長男が後を継いでくれてワシは幸せものじゃ」と、いつも妻と話しています。妻も、「あとはいいお嫁さんが来てくれるといいのだけど・・・」と、長男に明るくプレッシャーをかけています。
  源蔵さんがひとつだけ心配なことといえば、将来の相続のことです。源蔵さん夫婦には、長男のほかに、サラリーマンの次男と、小学校教師の三男がいます。相続で子どもたちがもめることなどなく、後継ぎの長男が和菓子店を続けていけるようにしておきたいと考えています。
  源蔵さんの財産は、鎌倉の自宅土地4,000万円、自宅家屋300万円、預金700万円、有限会社になっている和菓子店の自社株7,000万円(株主は100%源蔵さん)の、合計1億2,000万円です。相続人は、妻・長男・次男・三男の4人です。
  源蔵さんは、自宅の土地・家屋と預金(合計5,000万円)は妻へ、自社株(7,000万円)は長男へ遺したいと考えています。でもそうすると、次男と三男には何も遺すものがありません。何かいい方法はないでしょうか。
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