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第7回
「保険料贈与で保険金を一時所得の対象とする」
一般社団法人日本想続協会 代表理事/税理士 内田 麻由子
  すっかり秋らしくなりましたね。休日にはご家族で、紅葉狩りやハイキングなど自然に親しむという方も多いのではないでしょうか。
  さて、今月は、保険料贈与で保険金を子の一時所得の対象とすることにより、相続税の負担を軽減する事例についてみてみましょう。
● 相続税の納税資金を生命保険で準備したい
  晴代さん(55歳)は、長女夫婦と2人の孫の一家5人で東京郊外の二世帯住宅に暮らしています。長男は結婚して現在は海外に住んでおり、夫は10年前に亡くなっています。華道の師範の資格を持つ晴江さんは、20年以上も自宅で華道教室を営んでいます。
  晴代さんの財産は、自宅1.2億円、マンション1棟2億円、預金8,000万円の合計4億円です。晴代さんは遺言で、長男には預金の1/2を相続させ、ほかの財産はすべて長女に相続させるつもりです。海外で大学教授をしている長男には十分な収入があり、長男は以前から「僕はお母さんの財産はいらないからね」と言っているためです。そればかりか、長男は毎年晴代さんを自宅へ招いては、ヨーロッパの国々へ旅行に連れて行ってくれています。
  晴代さんの収入は、マンションの不動産所得と華道教室の事業所得が合計で1,500万円ほどあり、所得税などを差し引くと、手取りが約1,000万円になります。
  来年(平成27年)から相続税が増税になると聞いて心配になった晴代さん。そんな折、相続税の納税資金を生命保険で準備する方法があることを知りました。
  読者のみなさまもよくご存じのとおり、生命保険は契約形態により、かかる税金の種類が異なります。
  一般的な契約形態である「契約者=母、被保険者=母、受取人=長女」の場合には、死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象となります。
  一方、長女へ保険料相当額の現金を贈与して、長女が契約者となり保険料を払うという方法もあります。「契約者=長女、被保険者=母、受取人=長女」という契約形態です。この場合には、長女が受け取る死亡保険金は、長女の一時所得として所得税・住民税の対象となります。
  晴代さんの場合には、相続税の対象となる契約形態と、保険料贈与をして長女の一時所得の対象となる契約形態の、どちらが有利なのでしょうか?
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