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第11回
「家族信託と生命保険信託を活用して、
想いをカタチにする」
一般社団法人日本想続協会 代表理事/税理士 内田 麻由子
  梅のつぼみがほころぶ季節となり、春の訪れが待ち遠しく感じます。湯島天神の境内には、合格祈願の絵馬が鈴なりになっていました。
  今月は、家族信託と生命保険信託を活用して相続対策をした事例についてみてみましょう。
● 子どものいない夫婦の相続対策は?
  誠さん(80歳)は、東京郊外で妻(80歳)と暮らしています。誠さん夫婦には子どもがいません。数年前に妻が認知症になったため、現在は週に数回の介護サービスを利用しています。
  誠さんには、近所に住む妹が一人います。妹と妹の娘(誠さんの姪)は、誠さん夫婦を心配して頻繁に家事や介護を手伝いに来てくれており、とても助かっています。妻には、故郷の鹿児島に住んでいる兄と弟がいます。しかし30年ほど前に妻の両親が亡くなってからは、ほとんど交流もなく年賀状をやりとりする程度です。
  誠さんがいま心配なことは、自分が死んだあとの妻の生活と、財産のゆくえについてです。誠さんの財産は、自宅6,000万円と預貯金7,000万円の合計1億3,000万円です。
  もし誠さんが先に亡くなると、次に妻が亡くなったときに、妻の兄弟に財産が相続されることになってしまいます。誠さんは、ほとんどつき合いのない妻の兄弟に自分の財産を相続させるよりも、普段から自分や妻のことを心配して世話をしてくれている妹や姪に財産を遺したいと考えています。さて、誠さんはどのような相続対策をすればよいのでしょうか。
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