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最終回
第12回
「広い一戸建てを売却して
マンションと生命保険に組み替える」
一般社団法人日本想続協会 代表理事/税理士 内田 麻由子
  春は卒業・入学の季節ですね。お客さまのなかにも、お子さんやお孫さんの卒園・卒業、入園・入学のお祝いをした方も多いのではないでしょうか。
  さて、1年間続いたこの連載も今月で最終回です。今回は、広い一戸建てを売却し、マンションと生命保険に資産を組み替えた事例についてみてみましょう。
● 一戸建てに一人暮らしの依頼者
  鞠子さん(75歳)は、東京郊外に一人で暮らしています。夫は5年前に亡くなりました。2人の娘はいずれも嫁いでおり、孫も長女と次女のところにそれぞれ2人ずついます。長女は東京都内のマンションに、次女は横浜市内のマンションに住んでいます(いずれも夫名義の持ち家)。
  鞠子さんの財産は、自宅の土地約80坪(路線価で1億円)、自宅家屋400万円、預金6,000万円の合計1億6,400万円です。負債はありません。今の財産構成では、相続のときに、たとえば1人は不動産を、1人は預金を相続するという分け方もできません。また、不動産を長女と次女が共有で相続することは、“共有は共憂”というように、あまりお勧めできません。共有で相続した後に売却して分けることもできますが、その場合には、相続税の取得費加算の特例は使える一方で、居住用不動産を譲渡した場合の特例(3,000万円特別控除や軽減税率)は使えないため、税負担の面で有利ではありません。このような場合、鞠子さんは、どのような相続対策をすればよいのでしょうか。
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