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第6回
自社株の分散防止に生命保険を活用する
一般社団法人日本想続協会 代表理事/税理士 内田 麻由子
  お彼岸の連休には、ご家族でお墓参りをしたり、旅行するという方も多いことでしょう。家族で楽しい時間を共に過ごせることに感謝したいですね。
  さて、前回は、後継者が相続した自社株を会社が買取り、後継者の納税資金とする方法について学びました。今回は、すでに分散している自社株の買取りと、自社株の分散防止に生命保険を活用する方法について、ご一緒に見ていきましょう。
● 事例
  甲社は、創業50年の製造業です。2代目の経営者Aさんと3代目の後継者Bさんが、これまで力を合わせて会社を成長させてきました。Aさんは、後継者であるBさんへの事業承継をそろそろ考えはじめています。
  ところがAさんには、ひとつ困ったことがあります。それは、自社株が後継者以外の親族に分散してしまっていることです。創業者が亡くなった際の相続において、事業承継対策が十分になされていなかったため、Aさんのほか、Aさんの姉であるCさんと、弟であるDさんも、甲社の株式を一部相続し、今でも役員として名を連ねています。
  甲社の発行済み株式数は1万株であり、現在の株主構成は、Aさん8,000株、Cさん1,000株、Dさん1,000株となっています。また、甲社の株式の評価額は、1株3万円×1万株で3億円です。
  このままでは、姉Cさん・弟Dさんに相続が発生した場合には、さらに株式が分散してしまう恐れがあります。Aさんは、できれば自分が元気なうちに、姉Cさんと弟Dさんの所有する自社株を買い取りたい、少なくとも買い取るための手を打っておきたい、と考えています。また、株式の分散防止のためには、どのような方法があるのでしょうか。
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