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第7回
「相続時精算課税制度で自社株を贈与する」
一般社団法人日本想続協会 代表理事/税理士 内田 麻由子
  いよいよ今月からマイナンバー(個人番号)の通知がはじまりました。
  相続税の申告書については、平成28年1月1日以後の相続又は遺贈により取得した財産に係る申告から個人番号の記載が必要となります(平成27年12月31日以前の相続又は遺贈により取得した財産に係る申告書には個人番号の記載は不要です)。また、贈与税の申告書については、平成28年分から個人番号の記載が必要となります(平成28年2〜3月の申告期間に提出する平成27年分の贈与税の申告書には個人番号の記載は不要です)。
  さて前回は、すでに分散している自社株の買取りと、自社株の分散防止に生命保険を活用する方法をご紹介しました。今回は、相続時精算課税制度で自社株を贈与する方法について、ご一緒に見ていきましょう。
● 事例
  甲社は創業30年、従業員30人の小売業です。創業者である経営者Aさんは65歳。これまで妻Bさん(60歳)と二人三脚で事業を営んできました。3年前に後継者である長男Cさん(35歳)が入社してからは、停滞していた業績も伸び始めています。Cさんの頼もしい様子に安心したAさんとBさんは、Cさんへの事業承継対策を早めに始めたいと考えるようになりました。
  甲社の発行済み株式数は1,000株であり、現在の株主構成は、Aさん900株、Bさん100株となっています。甲社株式の評価額は、1株8万円×1,000株で8,000万円です。Cさんが後継者となったことにより、今後は自社株の評価額も高くなっていくことが予想されます。
  AさんとBさんは、自社株をCさんへ贈与したいと考えています。そこで、相続時精算課税制度による贈与と暦年課税制度による贈与について検討してみることにしました。
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