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第8回
「経営者が会社借入金の連帯保証人になっている場合」
一般社団法人日本想続協会 代表理事/税理士 内田 麻由子
  平成28年度の与党税制改正大綱を12月10日にとりまとめる方向との報道がありました。
  消費税の軽減税率ばかりがクローズアップされていますが、税と社会保障全体の枠組みのなかで、公正な税制のあり方を議論していただきたいものです。
  さて今回は、経営者が会社借入金の連帯保証人になっている場合の対処法についてご一緒に見ていきましょう。
● 事例
  Aさん(75歳)は、神奈川県で電子部品の製造業を営む甲社の経営者です。
  Aさんの相続人は、後継者である長男Bさん(45歳)、東京で小学校の教師をしている長女Cさん(42歳)、奈良に嫁いでいる次女のDさん(38歳)の3人です。妻は5年前に他界しています。
  甲社の発行済み株式数は1万株(株主構成はAさん8,000株、Bさん2,000株)です。甲社株式の評価額は、1株3万円×1万株で3億円です。なお、甲社には9,000万円の銀行借入金があり、経営者Aさんが会社借入金の連帯保証人になっています。Aさんのその他の財産は、自宅2,000万円と預金4,000万円です。
  Aさんは、遺言により、長男Bへ甲社株式8,000株(2億4,000万円)と自宅2,000万円を、また長女Cと次女Dへはそれぞれ預金2,000万円ずつを相続させようと考えています。
  中小企業が銀行から借入をする場合に、経営者が連帯保証人になることを銀行から要求されることが多いものです。Aさんが亡くなった場合に、この連帯保証債務は、相続の法務・税務においてどのような取り扱いになるのでしょうか。
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