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Aさん(70歳)は、飲食業を営む創業40年の甲社の経営者です。ここ数年は、後継者となった長男Bさんの奮闘もあり業績は好調です。しかし、過去に会社の資金繰りが厳しかった時期もあり、Aさんがこれまで会社に貸し付けた金額は累計で6,000万円になっています。経営者から会社への貸付金は、会社にとっては役員借入金です。甲社は現在、債務超過の状態であり、自社株の評価額はゼロです。なお、甲社の株主構成は、Aさん180株、Bさん20株となっています。
Aさんの相続人は、後継者である長男Bさんのほか、長女Cさんと次女Dさんの3人です。このままAさんに相続が発生した場合には、Aさんから会社への貸付金6,000万円は、相続財産として遺産分割の対象となります。後継者以外の相続人が貸付金を相続した場合には、会社へ返済を求めてくることも考えられます。また、この貸付金は相続税の課税対象になります。会社に借入金を返済できるだけの資金がなく、Aさん個人の金融資産も少ないという場合には、相続税の納税資金が不足することもあります。このように経営者から会社への貸付金がある場合には、どのような対策があるのでしょうか。
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