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第10回
「改正された小規模宅地の評価減の特例を活用する」
一般社団法人日本想続協会 代表理事/税理士 内田 麻由子
  相続した実家を空き家のまま放置するケースが全国で問題化していることを受け、2016年度の税制改正法案では、1981年以前の旧耐震基準で建てられた空き家を相続し、解体または耐震工事をして土地や建物を売却した場合に、譲渡所得から3,000万円を控除する制度が盛り込まれています。
  さて前回は、経営者から会社への貸付金がある場合の対処法について考えました。今回は、「小規模宅地等の評価減の特例」において、2015年から改正された居住用と事業用の特例について、ご一緒に見ていきましょう。
● 事例
  Aさん(65歳)は、後継者である長女Bさんと共に、東京で食料品と雑貨の輸入販売業を営んでいます。Bさんのセンスのよい品揃えで、お店は若い女性にも人気があり、会社の業績は好調です。現在、店舗は賃貸で毎月の家賃は90万円です。一方、店舗からほど近い場所には、3年前にAさんが母親から相続した土地があり、現在は月極駐車場にしています。近年、家賃が上昇していることもあり、AさんとBさんは、現在駐車場にしている土地に店舗を建築することを検討しています。
  Aさんの資産は、自宅土地(330u)8,000万円、駐車場土地(400u)1億円、自宅家屋500万円、自社株1億2,000万円、上場株式5,000万円、預貯金4,500万円の合計4億円です。また、Aさんの相続人は、長女Bさんと長男Cさんの2人です。長女Bさんは、後継者として父Aさんと共に事業に携わり、会社の役員にもなっています。長男Cさんは、名古屋で大学教授をしており、Aさんの会社を継ぐつもりはありません。
  AさんとBさんは、店舗建築の件について、資産税に強い税理士に相談してみました。すると「小規模宅地の評価減の特例」が昨年(2015年)から改正されたため、駐車場の土地に店舗を建築すれば相続税が軽減されるとのことでした。そこで、税理士に相続税の試算をしてもらうことにしました。
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