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ギランバレー症候群
株式会社査定コンサルティング 代表取締役 上田 香十里
  NHKの連続テレビ小説をご覧になっていますか。大学病院に入院中の短距離走者の女の子が、「ギランバレー症候群」だということを主人公である主治医から診断されました。手足に十分な力が入らない女の子はもう二度と大会で優勝を狙うような走り方ができないようです。思いっきり走れた人が、今後はそれが出来なくなると告げられるのは辛いですね。
■腸炎をともなう風邪が原因
  ギランバレー症候群は、急性の運動麻痺をきたす末梢神経障害で、多くの場合は風邪や胃腸炎などの感染症後に発症します。この感染を引き金として髄鞘抗原に対する自己抗体が作られることが原因の自己免疫性疾患と考えられています。その他に各種ワクチンや全身性疾患としての悪性腫瘍、ホジキンリンパ腫、SLE(全身性エリテマトーデス)などが原因となることがあります。さらにインターフェロンやペニシラミン、ニューキノロン系の抗菌剤が原因となる場合もあります。
  神経線維は電気コードのような構造をしており、神経細胞からでる軸索の周りを絶縁体である髄鞘が取り囲んでいます。そして、何らかの原因で神経に炎症が生じて、この髄鞘が破壊されることを「脱髄」といいます。中枢神経系の脱髄疾患の代表は「多発性硬化症」ですが、末梢神経系の脱髄疾患の代表が「ギランバレー症候群」です。厚生労働省が難治性疾患克服研究事業(臨床調査研究分野)の対象としている130の難病の1つに指定されています。
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