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脳脊髄液減少症
生命保険アンダーライター 上田 香十里
  脳脊髄液(のうせきずいえき)減少症とは、脳脊髄液が脳脊髄液腔から漏れ出ることで脳脊髄液の量が減少し、頭痛・めまい・耳鳴り・倦怠感などの様々な症状が起きる疾患です。
  症状はいわゆる不定愁訴で、起立性頭痛、頚部痛、背部痛、腰痛、手足の痛み、耳鳴り、聴覚過敏、めまい、ふらつき、光が眩しい(羞明感)、複視、三叉神経障害、顔面神経障害、微熱、体温調整障害、動悸、呼吸困難、胃腸障害、頻尿、高次機能障害などが起こります。脳脊髄液減少症はひとつの症状のみを訴える患者さんは少なく、いくつかの症状が組み合わされるのが大部分です。
■むち打ち損傷の後遺症として患うケースが多い
  脳脊髄液減少症は、古くから腰椎穿刺後の髄液漏出から起こることが知られていましたが、外傷性頚部症候群(むち打ち損傷)の後遺症として本疾患が起こることもいわれています。むち打ち損傷の後遺症として脳脊髄液減少症を患う患者は、全国に数十万人存在するといわれています。
  脳脊髄液の漏出だけでなく、脳脊髄液の産生減少あるいは吸収増加によっても脳脊髄液減少症が起こると考えられます。
■検査・診断
  脳脊髄液減少症は、痛みを主訴とするも確定診断がしばしば困難な疾患です。脳脊髄液の量を直接測定することは困難なため、検査により脳脊髄液漏出や脳脊髄液循環不全を観察し脳脊髄液の減少状態を推測します。
  画像診断によって脳脊髄液減少症の診断確定をします。RI脳槽・脊髄液腔シンチグラム検査、頭部MRI検査、CTミエログラフィー検査、MRミエログラフィー検査などがあります。特にCTミエログラフィー検査にて、くも膜下腔と連続する硬膜外造影剤漏出所見があった場合に確定診断とします。頭部MRI検査では硬膜肥厚などの所見が見られます。
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