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のう胞腎
生命保険アンダーライター 上田 香十里
■「腎のう胞」と「のう胞腎」では大きなちがいがある
  人間ドックの腹部超音波検査では色々なことが分かります。腎臓については、腎臓の石灰化、腎結石、腎のう胞(単純性腎のう胞)が指摘されることが多くあります。程度や大きさにもよりますが、1年後再検査くらいの判定になることが大半でしょう。
  ところが「腎のう胞」ではなく、「のう胞腎」と指摘されたときは注意が必要です。というのも、のう胞腎とは、多数ののう胞が腎臓の正常組織を圧迫し、最終的に腎不全へと進行する遺伝性疾患だからです。両側の腎臓に発生し、しばしばのう胞の数が数十個に及びます。これを「多発性のう胞腎」(Polycystic Kidney Disease)とよび、これには「幼児型のう胞腎」と「成人型のう胞腎」があります。
  成人型のう胞腎すなわち「常色染色体優性多のう胞腎」(Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease; ADPKD)は、近年の遺伝子工学の発達により遺伝背景が解明されてきたことで問題視されるようになりました。中高年以降に発症するため、患者の大半が本症の存在に気付かず、すでに子供に遺伝してしまっているからです。
  腎臓ののう胞性疾患には次の3種類があります。
単純性腎のう胞 単発のう胞で遺伝性はありません。片側だけで、無症状のことが多いです。これが人間ドックの腹部超音波検査で偶然に発見される、腎臓ののう胞の大半です。
幼児型のう胞腎 小のう胞が多発します。常色劣勢遺伝で両側の腎臓に発生します。生後8週で発症します。極めて稀で、多くの症例は早期(1歳未満)に死亡してしまいます。約10%が6歳まで生存すると言われています。
成人型のう胞腎 大小種々ののう胞が多発します。常色優性遺伝で両側の腎臓に発生します。40歳以降の中高年に発症します。
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