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神経性食欲不振症
生命保険アンダーライター 上田 香十里
  年末年始の休暇はお正月を挟むため、お節料理の食べ過ぎや日本酒の飲み過ぎとなり、体重増加となる方も多いのではないでしょうか。加齢とともに基礎代謝も落ちてきますから、なおさらですね。
  さて、今日は若い女性の食べられなくなる病気についてのお話です。
■一般には「拒食症」ともいわれる難病
  神経性食欲不振症(anorexia nervosa; AN)は、器質的疾患がなく、何らかの心理的な要因がきっかけとなって、著しい痩せ(るいそう)と続発性無月経となる病態です。思春期の女子に好発し、種々の異常所見が見られます。神経性無食欲症、思春期痩せ症、一般には「拒食症」ともいわれます。摂食障害の一つです。本疾患と神経性過食症をあわせて中枢性摂食異常症(摂食障害)といいます。難病として厚生労働省の特定疾患の一つに指定されています。
■疫学・症状・経過
  神経性食欲不振症は30歳以下の若年女子に多く起こります。特に12〜25歳に多く、患者の95%が女性です。標準体重の−15%以上の著しい痩せがあり、不食・大食・かくれ食いなど食行動の異常が見られます。体重増加に対する極端な恐怖感と強烈な痩せ願望があり、生活の大部分をダイエットに費やします。行動は活動的であることが多いです。ときに無月経となります。
  食欲不振や体重減少の原因となる明らかな器質的疾患がありません。陰毛・腋毛は正常、うぶ毛が増加します。その他に安静時除脈、低血圧、低体温、便秘などがあります。自分では病気の認識がなく、比較的活動的です。
  神経性食欲不振症は、精神科疾患の中で致死率が高い疾患の一つです。最終的な致死率は5%〜20%程度といわれています。主たる死因は、極度の低栄養による感染症や不整脈の併発です。または抑うつ症状からの自殺です。
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