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先進医療から保険診療の適用への昇格が期待される
粒子線治療(後編)
医療ジャーナリスト/有限会社イン‐ストック 浦山 明俊
  今回は粒子線治療のもう一方の雄、重粒子線治療について取り上げます。
■陽子線よりも効果の高い重粒子線
  陽子よりも、もっと大きくて重い粒子を持つ原子にはヘリウム、炭素、ネオン、シリコン、アルゴンなどがあります。これらの粒子を高速度に加速すると「重粒子線」と呼ばれる放射線が得られます。
  エックス線や陽子線では治療が困難であったがん細胞への攻撃が重粒子線には期待されます。早期の肺がん、肝臓がん、頭頚部のがん、骨の腫瘍などに効果を挙げているのが、重粒子線治療です。
  重粒子線は陽子線よりも、さらに患部への集中性が優れています。
  陽子線治療におけるがん細胞の殺傷能力が、通常の光子線と同等であるのに対して、重粒子線治療では、がんを叩く効力も陽子線より2倍から3倍と高いのが特長です。
  これは粒子の質量が大きく重いために、がんに対しての破壊力が高まるためです。
  治療のための照射回数も、少なくて済みます。
  治療の実際ですが、患者の身体に合わせた固定具を製作するところは陽子線治療と同じです。体内の状態を検査するところも同様です。放射線医師やがんの専門医、放射線技師が相談して治療計画を立てるのも同様です。
  先進医療では重粒子線治療は一律314万円、加えて別途の入院費や検査費がかかります。診断のために必要なCT、MRIなどの検査、入院費、薬代などは健康保険が適用となります。
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