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認知症で通所介護を利用
ファイナンシャル・プランナー/蓋INKS 代表 山田 静江
認知症(要介護2)、自宅で家族と同居し、デイサービス通い
かかる費用[月額]:  デイサービス(月4回)介護保険の自己負担
デイサービスでの食費・雑費(実費)
医療費
その他 紙オムツ代
            光熱費
         約4,400円
約2,800円
3,000円〜5,000円
4,000円〜8,000円
5,000円〜1万円
■ アルツハイマー型認知症の発症を機に、長男と同居
  東京近郊のK市にお住いの川村富美子さん(82歳・仮名)は、数年前、物忘れがひどくなったため、脳神経外科を受診したところ、アルツハイマー型の認知症と診断されました。
  まだ軽度でしたがひとり暮らしは不安だったので、長男の川村慎一さん(53歳・仮名、会社員)一家と同居することになりました。2年前に「要介護1」に認定され、その後、症状が進んで現在は「要介護2」と認定されています。

  認知症とは正式な病名ではなく、脳梗塞などの病気によって脳に障害が起こり、生活するうえで困難が生じている状態を指します。認知症になると、記憶障害(もの忘れ)や見当識障害(時間や季節、自分がどこにいるかなどがわからなくなる)、理解・判断能力の低下、実行機能の低下(以前はできたことができなくなる)などが起こります。
  その結果、感情が不安定になって怒りっぽくなったりうつ状態になったりし、徘徊や暴力などの問題行動を起こすこともあります。年を取れば記憶力が低下して何を食べたか忘れることもありますが、「認知症によるもの忘れ」は食べたこと自体を忘れてしまいます。

  日中、同居する慎一さんや家族が仕事等で家にいないときは、富美子さんは1人で自宅で過ごします。近くのスーパーやコンビニ、かかりつけ医には1人で出かけることもでき、お金の支払いも少額であれば問題ないようです。ただし何度も同じものを買ってきてしまうのには、家族も困っています。たとえば東日本大震災の影響で納豆の品不足がテレビで度々報道されましたが、その後、品薄状態が解消しても富美子さんは買い物のたびに買ってきてしまうため、冷蔵庫や冷凍庫が納豆だらけになってしまいました。
  電子レンジで温めたり、お米を研ぐことはできますが、調理の仕方は忘れています。家族が留守中の食事は作り置きしておくこともありますが、富美子さんは自分で好きなお弁当を買ってきて食べるのも楽しみのようです。
  富美子さんは元々は物静かな性格でしたが、認知症になってからは怒りっぽくなりました。また、気になることや気に入らないことがあると、慎一さんの会社や携帯電話に繰り返し電話をしてきます。その相手をするのが大変と慎一さんは言います。
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