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葬式とお墓のニューウエーブ その@葬式編
ファイナンシャル・プランナー/FP虎の子相談室 室長 河原 正子
  死者を弔う儀式である葬式というのは、「家」制度を主体とし、地域の慣習に従って執り行われるものでした。しかし高度経済成長期以降、家制度は衰退し、血縁・地縁関係も希薄になってきたことから現代では家族のあり方が大きく変わり、何事も「個」を中心として考えるようになりました。さらに少子高齢化、考え方やライフスタイルの多様化などの影響から、従来の伝統に則った葬式がある一方で、伝統にとらわれない個性的な葬式や簡素な葬式が出現してきています。今回はそのような“葬式のニューウエーブ”をお届けします。
(1)個性的な葬式
  形式を重んじる従来の葬式よりも、自由で個性的な「その人らしさ」を全面に出した葬式を希望する人も増えてきました。祭壇も白木祭壇ではなく、花で形作られた「花祭壇」を希望する人も多くなっています。なかには以下に紹介するような個性的な祭壇も見られるようになりました。
A)ハート形の花祭壇
  結婚式を1か月後に控えた幸せの絶頂期に、婚約者を交通事故で亡くした若い女性の希望をとり入れて作られたハート形の花祭壇です。故人への永遠の愛を象徴するかのような大きなハートが参列者の心を揺さぶりました。
B)七夕の花祭壇
  小さなお子さんの笑顔を大切にしていた元保育士の方を弔う祭壇です。「高齢なので家族葬で、参列者の中で一番かわいがっていた孫娘が、お葬式を怖いものとしてではなく明るい思い出になるようにしてほしい」との遺族の希望で、お孫さんが喜ぶ七夕の演出で見送りました。
  この他にも、フラダンスを習っていた故人を見送るために、南国の花で祭壇を飾り、故人の友人たちがフラダンスをささげ、棺の上にレイを置く演出をした葬式ですとか、あるいは、絵が趣味だった故人を偲んで、故人の作品を飾ったまるでギャラリ―のような式場での葬式など、遺族の想いを形にした演出ができるようになりました。
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