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2014年の葬式動向〜生前葬に参列して〜
ファイナンシャル・プランナー/FP虎の子相談室 室長 河原 正子
  生前葬とは、生きている人が自ら行う自分の葬式のことです。1993年にターキーこと、女優の水の江瀧子さんが行ったことで人々に知られ、最近ではドラマのテーマにもなりました。生前葬の良さは、生きているうちに、自らお世話になった人や愛する人などへ感謝の念やお別れのメッセージなどを直接伝えられる点にあります。大病などで死を意識した人だけではなく、死を実感していなくても、人生の区切りの時に《感謝の会》や《ご縁の会》などの名称で生前葬を行って再出発の原動力とされるケースも見受けられます。今回は、筆者が参列した生前葬について紹介します。
■  FPが企画した「あなたもきっとやりたくなる生前葬」
  エンディングノートの普及とともに、人生最期のイベントである自分の葬式に対する希望を生前に書き留めておく人が増えてきました。また、手紙にしたためる、あるいは音声録音などによって参列者宛てに感謝の言葉やお別れのメッセージを残される人もいます。
  そこから一歩進めて、「死んでからでは遅い。想いは生きているうちに伝えることが大切。自分を偲んで思い出話をしてもらうより、私が元気なうちに一堂に集まってもらい、絆の輪を広げる場にしたい…」というように葬式に対してもっと積極的に捉えている人もいます。そのような希望を叶えることができるのが「生前葬」です。FPは人の一生に関わるのだから生前葬も体験しておいたほうがいいという趣旨から、この6月、関西のFP団体が20周年記念イベントとして生前葬を開催しました。
  イベントとはいえ生前に行う葬式ですから、主役となる故人(予定者)が必要です。そこで、日本FP協会の元奈良支部長で、地元で2番目にベテランのFPであるYさん(女性)にその大役をお引き受けいただき、準備が進められました。
■  参列者全員が「生前葬は初めての経験」
  生前葬という名前は認知されていても、実際に参列した人はまだまだ少ないようです。今回のイベントに先立ち、参列予定者には事前に案内状を送付していましたが、香典や服装の判断に迷われた方も多かったようです。香典は「会費1万円」と明記されていましたが、その払い方はまちまちで、黒白の水引の不祝儀袋に「御香典」「御花料」「御霊前」「御香典という名の会費」「生前葬会費」などの表書きをされた方もいれば、紅白の水引の祝儀袋に「祝長寿」「お祝い」などの表書きをされた方もいました。通常の葬式と異なり生前葬はまだマナーが確立していませんのでケースバイケースですが、長寿を祝う気持ちがある場合には、葬式の一種ではあっても紅白の水引の祝儀袋も良いでしょう。
  また、会場は大阪市内のホテルで、案内状には「服装はYさんのご希望により平服でお越しください」とありましたが、男性はスーツやポロシャツ、女性は黒のスーツや明るい色調のワンピースなど様々でした。ちなみに、故人(予定者)であるYさんのいでたちは赤いブラウスに白を基調とした花柄のジャケットでした。
  生前葬の主催者は、生前葬を行う趣旨や会費、服装などについて案内状に明確に記しておくことが大切です。また、参列者は、服装や会費などで迷ったときには主催者や発起人などに問い合わせるとよいでしょう。
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