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お布施の“相場”
第一生命経済研究所 主任研究員 小谷 みどり
■ 読経や戒名はサービス財!?
  これまでは9割の葬儀は仏教式によるものでしたが、2012年に読売新聞がおこなった世論調査では、宗教色のない葬儀にしてほしいという人は48%、仏教式でおこなうとしても戒名が必要ないと答えた人は56%もいました。
  仏教式の葬儀は、信仰心からというよりは、慣習として定着してきましたが、そのことが、意識の上での仏教葬離れにつながっていると考えられます。菩提寺とは葬式と法事だけのつき合いの家庭では、読経や戒名がサービス財となり、「お気持ち」の相場、すなわち「読経や戒名の布施の相場はいくらなのか」が最大の関心事になるのは当然でしょう。「お気持ちで」とされる不明朗なお布施に不満を持つ人たちが増えています。
  こうした消費者の声に応えようと、2010年にイオンは僧侶を紹介する寺院紹介サービスを始め、読経とランクごとの戒名をセットにした全国統一の価格表をホームページやパンフレットで明示化しました。しかしこれが、仏教界に波紋を巻き起こしました。イオンは仏教各宗派で構成される全日本仏教会からの抗議を受け、現在はコールセンターに問い合わせがあった場合にのみ、お布施の目安を知らせる仕組みに変更しています。以前からお布施の相場や目安は公然とあったし、イオンの紹介サービスに登録しているのはれっきとした僧侶たちなのです。とはいえ、イオンの影響力を考えると、業界団体としては、断固として認めるわけにはいかないのが建前なのでしょう。
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