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プレニード
第一生命経済研究所 主任研究員 小谷 みどり
■ いま契約した葬儀は死後、契約どおり履行されるのか
  葬儀について事前に葬儀社を決めたり、費用の見積もりを取ったりするだけでなく、家族に手間をかけないように、契約をしておきたいと考える人もいます。これを「葬儀の生前契約」と呼びます。生前契約はアメリカで誕生し、いまや欧米では多くの葬儀社が取り扱っている一般的なサービスで、「プレニード」(preneed)と呼ばれます。葬儀の生前契約は、 @葬儀の内容を取り決める、 A葬儀の費用の支払い方法を定める、の2段階からなります。
  東京都が1997年に生活プランハンドブックとして発行した「わたしたちのデザイン〜葬送」という冊子では、@葬儀の内容を詳細に決め、A葬儀を実施するにあたっての費用の支払い方法を明確に定め、Bそれらを記述して生前に契約書を取り結ぶという3条件がそろった場合を「生前契約」と定義しています。
  こうした生前契約がほかの商品やサービスの契約と異なるのは、契約がちゃんと履行されたかどうか、生前葬でもしない限り、本人が確認するすべはないという点です。しかも、いつかは死ぬものの、それがいつなのかも分からないことに対する契約でもあります。
  したがって、例えば、葬儀社と生前に契約したのに、契約者が亡くなったときにはすでに葬儀社が倒産していたとか、遺族がいないことをいいことに、分からないと思って、契約通りに葬儀をおこなわない事態が起こらないとはいえません。
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