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相続の話し合いで爆発した親子の確執とは
相続ジャーナリスト 江里口 吉雄
■ 老朽化したアパートを建て替えたいが借金はしたくない
  都内でアパート経営をされているMさん(61歳)から、母親(83歳)と相続のことで話し合いをしたいので同席してほしいという依頼を受けた。
  私とMさんとのつきあいは数年前、Mさんがまだ会社員時代に自宅の土地の有効活用としてアパートの建て替え相談に乗ったことがはじまりだ。Mさんは昨年、40年近く勤めた会社を定年退職されてアパート経営に本腰を入れることにしたという。そのためにはMさんと母親との間で相続に関する問題を解決したいとのこと。詳しい事情が分からないまま、私は話し合いに同席することになった。
  Mさんの自宅に伺うとすでに家族全員が応接間に集まっていた。そこにはMさんと奥さんと2人の間のお子さん2人、同居しているMさんの母親が待っていた。
  Mさんの母親は50年以上前に離婚しており、子供はMさんだけなので相続人はMさん1人だ。相続の話というのは、じつは自宅敷地の一画にある駐車場を売却する話だった。Mさんの計画では、売却資金は5,000万円ほどになるのでその一部で庭先にある老朽化した木造のアパートを建て替えたいという。
■ 建て替えは賛成だが、土地売却で意見が分かれる
  Mさんの母親もアパートの老朽化には悩んでおり、建て替えには賛成だ。しかし、資金をどうするかでMさんとは意見が異なる。でも、借金は一切したくないということでは2人の意見は一致している。
  母親は今ある自己資金(母親自身の預貯金)の範囲内で建て替えるべきと考えている。自己資金は2,000万円ほどで、それで建てられる規模のアパートだと現在のものより部屋数が少なくなり、アパートの敷地の建容(建坪率容積率)からすると土地が余ってしまう。一方、現在のアパートと同じ規模の建て替えをすると、工事資金は4,000万円ほど必要になってくる。自己資金だけでは2,000万円足りないことになる。
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