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川崎病
株式会社査定コンサルティング チーフアンダーライター 森田里美
  連載「契約不成立を減らすための医学知識」は、執筆者を上田香十里さんから森田里美さんにバトンタッチして、リニューアルいたしました。新シリーズ第1回のテーマは「川崎病」。主に4歳以下の乳幼児に多く見られる原因不明の急性熱性疾患で、最近は年間1万人以上の患者さんが発生しており、年々増加傾向にあります。
  全身の血管に炎症をおこし、心臓の冠動脈などに後遺症を残す場合があります。この病気が発見されてから40年以上経ちますが、その原因はまだはっきりしていません。ウイルスや細菌に感染したのをきっかけにそれを防ごうとする免疫反応がおこり、全身の中小の血管に炎症が生じるのではないかとも考えられています。
■  乳幼児の皮膚・粘膜・リンパ節を侵す
  川崎病は、急激に発症し5日以上発熱が続きます。目が充血し、唇が真っ赤になります。舌はいちごのように赤く腫れて(苺舌)、体全体に発疹や手足が腫れるといった症状がでます。手足の腫れは、急性期にでる症状で、回復期になると、落屑(らくせつ)といって角質化した皮膚がぽろぽろとむけ落ちていきます。また片側の首のリンパ節が腫れることがあります。
  これらの主な症状のほかに、全身の血管が炎症をおこしているため、BCG予防接種を受けた部位が赤くなったり、関節の痛みや下痢、腹部の膨満など、いろいろな症状がでることがあります。ほとんどが3〜8週間くらいの経過で治癒しますが、まれに心筋梗塞・心不全・動脈瘤破裂が原因で、発症後1ヶ月経過する頃に突然死することもあります。
  川崎病の診断基準としては、前述の@5日以上続く発熱 A両眼の充血 B唇が赤くなるまたは苺舌 C発疹 D手足の腫れ E頚部リンパ節腫脹 これら6つの症状のうち5つ以上該当すれば川崎病と診断されます。
  川崎病の治療にはアスピリンとγグロブリン(ガンマグロブリン)を使用します。アスピリンには炎症を抑える効果があります。みなさんもご存知の解熱や鎮痛の効果がある薬です。もちろん、普段薬局などで手に入る薬とは用量が違っています。もう一つの薬、γグロブリンは免疫グロブリンとも呼ばれていて、冠動脈の病変を予防するために使われます。γグロブリンとは人の血液の血漿(けっしょう)といわれる部分を取りだして作った血液製剤です。
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