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アルコール中毒
株式会社査定コンサルティング チーフアンダーライター 森田里美
  企業や学校などに新人さんが入ってくる季節になりましたね。歓迎会と称して、お酒を飲む機会が増えているのではないでしょうか。社会人の皆さんは、「適度」な量で楽しんでいらっしゃると思いますが、学生さんは時折飲みすぎて酩酊したり羽目を外して騒いだりしてしまうことがあるようです。お酒の飲み方も学習が必要ですね。
■  急性アルコール中毒とアルコール依存症のちがい
  「急性アルコール中毒」とは、アルコールの摂取により体内のアルコール濃度が一過性に高まり、意識障害や嘔吐、血圧低下、呼吸数低下などをきたした状態です。いわゆる「酩酊(めいてい)」と同じ意味になります。特に、一気飲みのように短時間でアルコールの大量摂取をすると発症しやすくなります。
  これに対して、毎日のようにアルコールを飲んでいたい、飲まずにいられない、飲み始めると止まらないなど、アルコールへのコントロール不能状態は、アルコール中毒と言わず「アルコール依存症」と言います。これは、繰り返しアルコールを飲むことによって、脳の中にアルコールを求める回路ができてしまい、アルコールをやめることができなくなってしまう状態のことです。アルコールは肝臓を破壊するだけではありません。食道がんや大腸がん、認知症、糖尿病、膵炎などを引き起こします。アルコール依存症には、精神的な依存と身体的な依存があります。
■  アルコールの量によって異なる症状
  急性アルコール中毒の症状は、個人差はあるものの飲んだアルコールの量によります。下表のような症状から、血液の中のアルコール濃度を推定します。血中アルコール濃度に影響するその他の要因として、飲んだ速さ、肝機能などの体の状態や、アルコールの分解酵素による遺伝的要因があります。
血中アルコール濃度(r/dl) 状 態 症状
10〜50 ほろ酔い 陽気、顔面紅潮
50〜150 軽い酩酊 陽気、多弁、感情失禁
150〜250 酩酊 判断力低下、運動失調、興奮・麻痺
250〜400 泥酔 意識障害、構音障害、低体温
400以上 昏睡、呼吸抑制、血圧低下→死亡
*構音障害……舌や喉などの運動障害によって、発音が不明瞭となり聞き取りにくい状態のことです。
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