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高血圧
株式会社査定コンサルティング 顧問医 北島 武志
  今回より連載「新・契約不成立を減らすための医学知識」の執筆は、査定コンサルティングのチーフアンダーライター・森田里美さんから、同社顧問医の北島武志医師にバトンタッチしました。ドクターの立場からより専門的に解説いただきます。
  その第1回は、保険加入時の告知・診査・健康診断、更に新契約査定の場面で最も多く遭遇する所見としての「高血圧」について取り上げます。保険加入の可否に高血圧は無視できない存在であり、また、顧客に対して営業の皆さんのちょっとしたアドバイスが役に立つことも少なくないからです。
■  何故「高血圧」が問題になるか
  生命保険制度の発足当初から、血圧・尿のチェックは最もありふれた検査でした。血圧値は死亡率にも関係が深く、生命保険業界でも重視され続けている指標で、これによって生命保険の死亡指数の柱となってきました。
  「人間」にはあって、その祖先を同じくする「猿」には無い病気の代表的なものが「高血圧による脳卒中」であることはよく知られています。大昔に一つの祖先から二つの方向に別れて現在の人間と猿があるわけですが、ただ単に「毛が3本増えた」だけではないのです。最も大きい相違は「脳の重さ」で、人間は猿の3倍以上の大きな脳を持つようになったのです。あの巨大なゴリラの脳よりもはるかに大きな脳であり、それによって人間の文化が形成されてきたのですが、いいことばかりではありません。そんな大きな脳を支えていくには、当然大量の血液による酸素供給が欠かせないのです。
  この脳の血管群は極めて複雑なネットを作っていく必要があり、猿の脳血管よりも遥かに長く複雑な血管網となっています。しかし、たくさんの血管ネットにはどうしても弱い部分もできるので、破れやすい所もかなりあります。そして、この脳血管の弱点である脳神経部分が、人間の手足・体・言語等を司る中枢なのです。脳の血管が破れるということは、そこから先へは血液・酸素がいかないということ。特に脳血管は別れるばかりで先でつながっていない終末動脈のため、破れた部分より下流では酸欠で脳神経がアウトとなり、半身不随・言語障害等が生じることになります。
  猿は幸せにもこんな脳血管群を持っていないので脳卒中が見られません。我々人間はこんな弱点がある脳血管を持っているし、今更大昔には帰れないので、血管が破損しないように気をつけて生きていかねばなりません。だからこそ、高血圧予防が大切なわけです。
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