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死亡保障以外の保険における医務的査定について
株式会社査定コンサルティング 顧問医 北島 武志
  今回は保険に加入する際に行われる「医務的査定」について論じたいと思います。
■  死亡保障以外の危険選択は発展途上
  生命保険の誕生から現在に至るまで、保険加入希望者のその時点での健康状態や既往歴などによって、保険加入に際して多様な特別条件が提示されてきました。
  これらの特別条件は、生命保険会社のアンダーライティングにおける重要なノウハウとして検討・改正が繰り返されてきましたが、その大部分は「死亡支払リスク(対死亡リスク)」の医務的査定のノウハウといっていいでしょう。というのも、20年程前までは生命保険商品といえば死亡を担保する死亡保障のことであり、医療保険は死亡保障の特約に過ぎなかったからです。
  しかしここ20年来は、死亡保障以外の商品――死亡しなくても支払・給付が受けられる保険商品(かつては「ニッチ商品」と言われた)が数多く登場し、しかもこれらを主力商品として販売する生命保険会社も多くなってきました。また、死亡保障を主契約としなくても、単体で加入できる手ごろな価格の医療保険が若年層を中心に販売実績を大きく伸ばしてきました。
  商品としては「医療保険」「特定疾病保険」「がん保険」「リビングニーズ特約」「介護保険」「先進医療特約」などがありますが、これらの危険選択はこれまでの対死亡リスク中心のノウハウでは対処が困難になってきています。
  外資系保険会社を中心として、死亡保障以外の保険の危険選択ノウハウは20年以上の蓄積がありそれなりに精度を増してきていますが、如何せん生命保険に比べればはまだまだ十分とはいえません。しかし、現状の商品種類の多様性から見て、従来からの「生命保険選択ノウハウ」と「医療保険等の選択ノウハウ」の両立は避けては通れません。
  なぜなら、生命リスクが「小」であっても入院リスクが「大」の疾患も少なくないので、この間の危険選択能力が生命保険会社にとっては大きな問題となってくるからです。例えば、骨・筋肉の疾患では死亡リスクはあまり大きくありませんが、手術リスク・長期入院リスクは無視できないものが少なくないのです。あるいは糖尿病などは死亡・入院リスクは大きいですが、手術リスクはあまり大きくありません。
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