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眼疾患(視力障害)と高度障害保険金
株式会社査定コンサルティング 顧問医 北島 武志
  人は五感の働きによって外界を認識していますが、その中で最大の情報量を得ているのが視覚です。つまり眼は身体の中で最も重要な感覚器といえます。そのため全く永久に視力を失う(矯正視力0.02以下)と、死亡保険金と同額の高度障害保険金が支払われることになります。今回は失明に至る眼疾患について解説します。
■  眼疾患(視力障害)のリスクは重大
  生命保険や医療保険の新契約において引受査定をする場合、加入を希望する顧客の健康状態に関して保険医学的リスクを第一に検討するのは当然です。
  例えば近年増えている医療保険単体の査定に関していうと、生命リスクのほかに入院リスクと手術リスクの可能性も考慮しなくてはなりませんが、じつはこれら以外にも保険金等の支払を約束することになるリスクが存在するのです。その重要なリスクの1つに「高度障害状態リスク」が挙げられます。
  高度障害保険金は、身体障害が高度と判定されれば死亡保険金と同額の支払いを約定するもので、保険医学的には重大です。障害の多くは不慮の事故や外傷によるものです。この障害の程度により、保険金支払の程度が一部支払〜全額支払と重度が異なる障害保険金もあります。障害の程度については整形外科的な判断が必要なことも多いです。
  新契約の引受査定において、加入希望者の健康状態について少なからず注意を要するものの1つに「眼疾患(視力障害)」があります。今回はこのリスクについて考えてみましょう。なぜなら、高度障害保険金の支払は全か無か(all or nothing)しかないですから重大です。
  「眼疾患」にもいろいろあり、新生物(網膜等)・感染症・変性症・外傷等多くの傷病リスクが考えられます。新生物については主に問題となるのは乳幼児期の網膜芽細胞腫(retinoblastoma)であり、成人では眼の悪性新生物はまれです。
  眼の感染症で高度障害となるものも現在ではまれと考えられます。これら以外で問題となるのは眼の結膜・角膜・水晶体・硝子体・網膜・ぶどう膜・結膜などの疾患で、特に角膜(円錐角膜)、水晶体(白内障)、硝子体(混濁)、網膜(色素変性症、糖尿病性網膜症)等々が視力障害を起こすリスクが高いです。これら眼疾患は生命リスクとはあまり関係がありません。
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