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元保険会社医長が語る、
保険のセールスパーソンが知っておくべき
‘がん’にまつわる医療のはなし
ファイナンシャル・プランナー 黒田 尚子
  医療保険やがん保険など、第三分野の商品を取り扱う保険のセールスパーソンにとって、医学的な知識は欠かせないものです。とくにがん保険は、医療保険と異なり、保険約款や運用が保険会社によって大きく異なり、保険募集時や給付金等の支払い時など、‘がん’とそれ以外の疾病との定義の違いを、正しく理解しておく必要があります。
  今回は、私黒田が聞き手となり、がん保険のパイオニアであるアフラックで長年医長を務めてこられた佐々木光信氏(現 保険医学総合研究所所長)に、保険医学の視点から、保険のセールスパーソンが知っておくべき‘がん’にまつわる医療についてインタビューしました。
 <佐々木光信氏 プロフィール>
保険医学総合研究所 (http://insmed.co.jp) 所長 医学博士
【専門分野】: がん医療全般、医療保険制度研究、
民間保険商品開発と商品研究
【経歴】:
昭和53年慶応義塾大学医学部卒業 同大学病院泌尿器科
昭和60年5月某国立病院医長
昭和64年4月同国立病院非常勤医長兼某国内生保医事調査課長
平成6年4月同生保医務部長
平成13年1月アフラック医務部 部長
平成23年1月同医長(チーフメディカルディレクター)
平成26年8月アフラック退社、保険医学総合研究所所長
―保険会社によって、医療保険やがん保険の「がん」の定義が異なります。とくに悪性新生物と上皮内新生物 の扱いが異なる点について、どうお考えになりますか?
  そもそも歴史をさかのぼると、1974年に日本でアフラックががん保険を取り扱うようになった時点では、上皮内新生物の概念といえば、ほぼ子宮だけでした。今は乳腺や大腸などもありますが、最初は、子宮で研究されて概念が確立されてきたという経緯があります。
  一般の方に分かりづらいのが、悪性新生物と上皮内新生物の違いです。
  両者は、医学的にまったくリスクが異なるものです。また両方に対して、同額保障を続けていると、商品として保険数理的にも問題が出てくる。そこに気付いた保険会社が、医学的な正しさを重視して、この2つの保障を分離させたんです。それがアフラックともう1社ですね。
  その後、分離しなかった会社が「上皮内癌についてはアフラックは払ってくれない」といって、営業の売りにしたという話を聞いたこともあります(苦笑)。
  ただ、営業的な訴求力という観点から、途中でアフラックも上皮内新生物については、保障の金額を制限して取り扱うようになりました。
※  上皮内癌(がん・ガン)は、現在では一般的には上皮内新生物といい、悪性腫瘍とは別物ですが、その名称から混同されることがあります。ただし、上皮内新生物が最もよく観察されているのは子宮頸部ですが、子宮頸部では前がん病変の異形成と上皮内腫瘍はしばしば共存し、両者の間は必ずしも明瞭な区別がつけられません。これらを連続した一連の病変としてとらえ、「子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia:CIN)」と呼んでいます。
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