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家族は「第2の患者」
〜患者をとともにがんと闘う家族へのサポートの必要性〜
ファイナンシャル・プランナー 黒田 尚子
  以前、私がある地方都市で、がんとお金のセミナーをやったときのことです。
  セミナー終了後、50代後半くらいの女性が私のところにやってきました。「夫が2年前に大腸がんにかかりました。今も治療を続けているのですが、『自分の人生だから残りの時間を好きに生きたい。俺が死んだあとのことは知らない』などと言って、お酒もたばこもやめてくれません。ウチは小さな個人商店をやっていて、夫がいなければお店は立ち行かなくなります。まだ一番下の子が大学生で、お金もかかるのに…」と本当に困り果てた様子です。
  がん告知をうけたとき。治療が行われているとき。再発・転移がわかったとき。病状が進行して治る見込みがなくなったとき。――さまざまな局面で、患者と同じように、そのご家族の心もさまざまに揺れ動きます。
  最近では、こうしたがん患者の家族に及ぼす心の葛藤が、不安や抑うつなどの症状になって現れることが研究によってわかってきました。
  今回は、「第2の患者」とも呼ばれるがん患者の家族の問題とサポートについて考えてみたいと思います。
● がん患者の家族「第2の患者」に起こる心理的ストレスとは?
  一生の間にがんに罹患する可能性は、男女とも2人に1人と言われています。しかしもう少し詳しく見てみると、男性60%、女性45%と、15%も差があります。つまり男性(夫)の方ががんになる可能性は高く、そうなると「第2の患者」となるのは、妻です。
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