Home > 医療・介護・相続等の現場 > がんに強いセールスパーソンになる

NPO法人「がんと暮らしを考える会」賢見卓也理事長と、
がん患者とそのご家族への支援を語る【前編】
ファイナンシャル・プランナー 黒田 尚子
  私はFPかつサバイバーとして、がん患者やそのご家族へライフプランや経済的リスクに対するアドバイスを行う専門家の立場で活動しています。その際、がんサバイバーへの支援についてのお問い合わせを受けることがよくあります。
  「患者会」のように、同じ病気を持つ者同士が語り合う場もありますが、医療従事者だけではなく、金融・労務・税務・法務に関する専門家が、がん患者とそのご家族に対して、さまざまな医療・金融サービスについて‘次の一手’の情報を提供している団体もあります。
  今回ご紹介する「がんと暮らしを考える会」(以下、「がん暮」)は、がん患者とそのご家族が安心して暮らすための支援体制を構築することを目的に、2011年3月から活動をスタートしました。その後、2013年7月に特定非営利活動法人の認証を受けています。
  がん患者を支援するさまざまな活動を行う「がん暮」の理事長・賢見卓也さんに、同会の設立の経緯や、活動内容などについてについてお話を伺いました。
―まずは、同会を設立されたきっかけについてお聞かせください(以下、敬称略)
賢見 :  きっかけは、私が大学院で、医療機関が使える国以外の社会資源を探していたことです。そこで生命保険の「リビング・ニーズ特約」のことを知り、ほかにも‘使えそうなのに、使われていない’制度が、実はたくさんあることに気付きました。今は、末期がん患者の訪問看護ステーションで仕事をしていますが、ここでもお金や相続、仕事などについての問題によく出くわします。
でも、これらの制度を取りまとめて患者さんたちに伝えるしくみがない、ということがわかってきたんです。以前、保険業界で保険金不払い問題が話題になりましたが、(保険金や給付金の請求が)申請主義である限り、この問題は解決されないといった意見がたくさんありました。公的制度についても調べてみると、すべて申請主義をとっています。つまり患者さんが知らない限り、使えないのが現状です。
こういった活動についての必要性を感じているのが自分だけでは意味がありませんから、いろいろな業界の方たちと問題を共有すること。そしてその問題をそれぞれの立場から模索することといった感じで、会の活動をスタートさせました。

<賢見卓也理事長のプロフィール>
1999年兵庫県立看護大学卒業。医療費問題、サービスの質について学ぶため、日本大学大学院グローバルビジネス研究科に入学。「末期がん患者における生命保険の有効活用」について研究し、経営学修士(MBA)を取得。
社会保険労務士・保険会社職員・FP・税理士・弁護士など医療・金融・法律などの専門家を集め、がん患者の経済的な問題の解決を図る研究会を発足し、のちにNPO法人化。「がんと暮らしを考える会」を設立、理事長に就任し現在に至る。
 
※ これ以降は会員専用ページです