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「‘重粒子線治療’の今とこれからを考える」
〜粒子線がん相談クリニック院長 辻井博彦先生が語る【前編】
ファイナンシャル・プランナー 黒田 尚子
  がんの先進医療の代表格といえば、重粒子線や陽子線を使った粒子線治療です。これらは、従来のX線を使用した放射線治療に比べ、がんの病巣に狙いを定めて照射することが可能で、患者さんへの身体的負担が少ないなど、これから大いに期待されるがん治療法のひとつと言えます。
  また、平成28年度診療報酬改定によって、今年の4月から、小児がん(限局性の固形悪性腫瘍に限る)への陽子線治療と、切除非適応の骨軟部腫瘍への重粒子線治療について、保険適用が認められるようになりました。
  今回は、粒子線治療に関するセカンドオピニオン外来専門の粒子線がん相談クリニック院長 辻井博彦先生に、重粒子線治療の特徴や、同クリニック開設の経緯などについてお話を伺います(以下、敬称略)。
―黒田:辻井先生は、「国立研究開発法人放射線医学総合研究所(以下、放医研)」の前理事でもいらっしゃいます。まさに重粒子線治療の第一人者というべき方ですが、重粒子線治療の特徴について教えてください。
辻井:粒子線とは、放射線の一種で、現在、陽子線と重粒子線(炭素線)の二つが用いられていますが、両者のがん病巣に対する線量集中性は、X線よりも優れています。また、粒子線のうち重粒子線は、陽子よりも12倍重い炭素イオンを用いて治療しますので、線量集中性は陽子線よりシャープで、かつ治療に必要な影響力が強いため、従来の放射線に抵抗性を示すがん、すなわち完治が難しかったがんに対しても有効であることが確認されています。このように、重粒子線治療は「切らずに治す治療法」の代表格といえますが、治療回数や治療期間を大幅に短くできるという点も大きなメリットです。
[プロフィール]
辻井 博彦(つじい・ひろひこ)
粒子線がん相談クリニック院長 医学博士
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所 前理事・フェロー

1968年:北海道大学医学部卒業
1990年: 筑波大学臨床医学系教授(陽子線医学利用研究センター長)
群馬大学医学部客員教授
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