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「‘重粒子線治療’の今とこれからを考える」
〜粒子線がん相談クリニック院長 辻井博彦先生が語る【後編】
ファイナンシャル・プランナー 黒田 尚子
  今回は、重粒子線治療の第一人者である、粒子線がん相談クリニック院長 辻井博彦先生のインタビューの後編です。
  今年4月から公的保険の適用になった粒子線治療について、また保険のセールスパーソンが心得ておきたいポイントについてお話を伺います(以下、敬称略)。
―黒田:今年の4月から、小児がん(限局性の固形悪性腫瘍に限る)への陽子線治療と、切除非適用の骨軟部腫瘍への重粒子線治療について、保険適用が認められるようになりました。この点については、どのようにお感じになられましたか?
辻井:重粒子線治療でいえば、放医研(国立研究開発法人放射線医学総合研究所)において、1994年から臨床試験を行い、厚労省より先進医療として認められたのは、2003年のことです。それから10年以上、先進医療として治療が行われてきていますが、いつまでも先進医療のままでいるわけにはいきませんから、どこかの時点で保険収載されなければならなかったということです。ただ、価格的にみて、すべての疾患に対する重粒子線治療を保険収載することはできません。保険制度が破綻してしまいますから。そのような点も踏まえて、効果が高く、医療者や患者さんからの要望も高かったものが、今回、保険収載されたということです。
―黒田:小児がんの場合、ご家族の年齢も若く、費用負担が重ければ大変なケースも少なくありませんから、患者会などの要望も大きかったようですね。
  報道などでは、症例の多い前立腺がんや肺がん、肝がんなどは、従来の治療法と比較したエビデンスのあるデータが提示できなかったため保険収載を見送られた、とありますが、実際のところはどうなのでしょうか?

[プロフィール]
辻井 博彦(つじい・ひろひこ)
粒子線がん相談クリニック院長 医学博士
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所 前理事・フェロー

1968年:北海道大学医学部卒業
1990年: 筑波大学臨床医学系教授(陽子線医学利用研究センター長)
群馬大学医学部客員教授
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