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「今、がんを治療しながら働くこと」その現状と課題
〜厚生労働省「治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を踏まえて〜
ファイナンシャル・プランナー 黒田 尚子
  厚生労働省の調査によると、2010年時点で、仕事をしながらがんで通院している人は、約32.5万人(男性14.4万人、女性18.1万人)と推定されています(厚生労働省「平成22年国民生活基礎調査」)。また、2011年の1年間にがんに罹患した人の約30%が、20〜64歳の現役世代です。
  がん抑制遺伝子の働きや免疫力が加齢とともに弱くなっていくため、がんは高齢になるほど罹患者が増えるのが道理です。しかし、若い世代のがん患者も皆無というわけではなく、とくに、女性の場合、子宮頸がんは20〜30歳代、乳がんは30歳代後半〜40歳代といった、若い層の罹患者が増加しています。
  また、医療の進歩によって、がんの相対生存率が向上したことや、通院による治療が可能になったことも、働くがん患者が増えている要因の一つでしょう。
  その一方で、さまざまな問題や課題も出てきています。今回は、2016年2月23日に策定された「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を踏まえて、がん患者の就労と治療の両立の現状や課題などを考えてみたいと思います。
■  「がん患者の就労を含めた社会的な問題」が国の重点課題に
  最近、がん患者の社会・経済的な問題について、新聞、ニュースなどの各種メディアで取り上げられているのを目にしますが、このように話題になったのは、ほんの最近です。
  私ががんに罹患した2009年当時、がんとお金のことを問題視する人など皆無でした。治療と仕事を両立させることよりも、「がんという重篤な病気にかかったのだから、さっさと仕事を辞めて治療に専念しなさい」という人が大半だった気がします。
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