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第1回
医療・介護の現状のおさらい
ファイナンシャル・プランナー/蓋INKS 代表 山田 静江
  高齢化が進む日本の将来を見据えて、医療・介護の分野は大きな見直しが進んでいます。とはいえ、医療・介護は誰もが日常的に受けるものではないので、実際その立場にならないとわからないこともあります。この連載では、変わりつつある医療・介護制度のうち、利用者が押さえておきたいポイントをそれぞれの分野の専門家に取材してお伝えしていきたいと思います。
  第1回は、医療・介護の現状について全体像をお伝えします。
■ 「高齢化」が医療・介護にもたらしたもの
  平成24年度は、医療保険(公的医療保険のこと。以下、医療保険)の診療報酬改定と介護保険の介護報酬改定が同時に行われました。医療保険も介護保険も財政難や人材不足などの問題を抱えるとともに、増え続ける高齢者へどのように対応していくかという問題に直面しています。
  そこで今回の改定では、@高齢者が地域で住み続けるための地域包括ケアシステムを強化することと、A医療と介護の役割分担と連携強化が、共通の方向性として検討されました。
  高齢者の「社会的入院」(本来の治療目的は達成していても、自宅などで面倒をみる人がいないためにそのまま入院を続けていること)は、医療保険や介護保険の財政を悪化させる要因のひとつであることなどから、おもに高齢者が長期入院する病床(療養病床)について、介護保険適用の療養病床13万床は全廃され、医療療養適用の療養病床は約10万床減らし15万床とする方針です。
  その一方で在宅療養を促すため、訪問診療・訪問介護への報酬を厚くし、たん吸引などの医療行為を一定の研修を受けた介護職員が行うことができるようになりました。
  また、例えば看護師が訪問して要介護者等に医療行為などを行う訪問看護のように、医療と介護ではサービスが重なる部分があります。そこで医療と介護の役割分担を決め、両者がうまく連携をとって、「看取り」(臨終に付き添うこと)までを病院以外の場所でできる体制づくりをしようという流れになっています。
  医療については、病気などで最初に運び込まれたときの急性期の医療と、回復期などの医療の役割分担が課題です。医療機関の規模や機能ごとに役割分担するよう制度改定が進んでいます。
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