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第2回
在宅支援診療所の医師に聞く
「患者の情報共有化が課題」
ファイナンシャル・プランナー/蓋INKS 代表 山田 静江
  入院の必要はないが、高齢や寝たきりなどにより通院が困難な患者に対して、自宅で継続的な医療サービスを提供するのが「訪問診療」です。どのようなケースで、どのように医療を受けるのか、在宅療養支援診療所で訪問診療を行っている医師に、現場の様子や今後の課題などを伺いました。
■ カンファレンスで在宅医療と介護の方針を決定
  東京近郊で開業している橋本さん(仮名)は、泌尿器科が専門の医師です。脳梗塞の後遺症で自力での排尿が難しい方や前立腺や膀胱の病気の方など、尿道カテーテルによる排尿管理が必要な患者さんを中心に10〜15名の訪問診療を担当されています。
  患者さんを担当するまでのルートは主に2つあります。1つは近隣の病院の在宅医療連携室から、入院患者さんの退院後のケアを依頼されるケース。もう1つは、自分が開業する診療所に通院している人や近隣の人など、患者さん側から直接依頼されるケースです。
  病院からの依頼の場合、初めて接する患者さんなので、まずは入院中の患者さんやご家族と会って、人間関係を構築するところから始めるそうです。医者と患者とはいえ、人間同士なので相性の良し悪しはあると橋本医師は考えていて、「患者にも選ぶ権利はありますから」と笑っていらっしゃいましたが、さすがに医師のほうから「この患者はイヤ」と断ったことはないそうです。
  担当することが決まったら、紹介元の病院の担当医や看護師、ケアマネジャー、訪問看護ステーションの看護師などとカンファレンスを行い、在宅医療と介護の方針を話し合います。橋本医師は退院する病院から紹介状(患者の病状や治療歴を記載したもの)を受け取るとともに訪問診療のための在宅医療計画書を作成、ケアマネジャーも医師の指導のもと看護と介護のケアプランを作成し、患者または家族の同意を得ます。介護認定を受けていない場合には、同時に介護認定の手続きも行います。
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