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第3回
高齢者の介護相談の専門家に聞く
「まずは信頼できるかかりつけ医と
ケアマネジャーを探すことが大切」
ファイナンシャル・プランナー/蓋INKS 代表 山田 静江
  医療制度の改正により、高齢者の長期入院が難しくなっていることから、病気をかかえる高齢者のいる家族は、通院や介護の負担にあえいでいます。在宅で介護を行っている家族がどのような点で困るのか、自宅での介護に限界を感じた場合の選択肢となる高齢者住宅・施設の現状や問題点について、伺いました。
■ 在宅介護の限界
  介護と高齢者の暮らしの相談員として活躍する野中依子さん(仮名)は、地域の高齢者の集いの場を運営し、多くの高齢者やその家族から介護相談を受けています。集いの場では、助けを借りたい高齢者に働きたい人を有償ボランティアとして紹介するという事業も行っています。その一方で、十数年前から有料老人ホームやケアハウス、グループホーム、特別養護老人ホーム、老人保健施設などの高齢者住宅や施設の見学会や勉強会を行ってきました。その経験を活かして、現在は施設探しから契約時の同行など幅広い相談活動を行っています。ここ数年は、野中さん自身のご両親や義理のご両親の介護も経験し、多くの問題に直面してきたそうです。
  こういった経験を通じて痛感しているのは、在宅介護の限界と高齢者医療の問題点、高齢者住宅・施設のサービスの低下です。
  国の方針では「介護が必要になっても住み慣れた地域で暮らし続けるためのしくみ作り」を目標に、医療と介護の連携や制度改正が行われています。しかし、そのしくみを実現するための人材や事業が育っていません。
  例えば、平成24年の介護保険法改正で導入された、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、24時間対応の訪問介護・看護サービスとして、在宅介護の切り札と注目されました。しかし、サービスを開始する事業者はなかなか増えず、同サービスを導入している自治体(介護保険サービス提供単位である広域連合を含む)は、約1割しかないという現実があります。
  訪問診療を行う医師の人材不足も深刻です。前回登場いただいた橋本医師(仮名)も指摘していましたが、高齢者を在宅で診療するための知識やスキルを持つ医師が、まだまだ少ないそうです。
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