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第4回
―外科医に聞く「外科手術の進歩」―
モニターを見ながら手術支援ロボットを操作、
SFのような手術で患者への負担を軽減
ファイナンシャル・プランナー/蓋INKS 代表 山田 静江
  1987年に47.3日だった退院患者の平均在院日数(病院のみ)は、24年後の2011年には、34.3日まで短縮されています。入院日数の短縮要因のひとつが「外科技術の進歩」ではないでしょうか。手術による身体への負担が低減できればその分、退院までの平均日数も短くなります。今回は、最近増えている内視鏡による手術やSFのような最先端の手術、切る・(患部を)取る・縫うなどの外科の技術について、外科医の西川智子さん(仮名)にお尋ねしました。
■ 1990年代から国内の手術で導入
  西川さんは20年ほど前に医師となり、都内の大病院や近県の中堅病院で外科医として働いてきた方です。まだ開腹・開胸手術が当たり前だった時代に外科医となりましたが、一方内視鏡による手術も、多数経験されています。
  外科は内科と並ぶ医学の主流分野ですが、人体へメスを入れて傷つけることで、手術の傷が治るまで時間がかかるという問題が残されています。そういう問題を低減させたのが、内視鏡による外科手術です。
  内視鏡下手術は、腹部や胸部に小さな穴を3〜4箇所開け、そこから腹腔鏡や胸腔鏡などの内視鏡やメス(電気メスやレーザーメス)、鉗子などの器具を入れて手術を行います。患者の腹部や胸部に二酸化炭素ガスを注入してふくらませることにより、手術スペースが確保され、かつ視野が広がります。モニターに画像が映し出されるため、執刀を担当している医師以外の人も、手術の経過を見ることができるようになりました。
  最大の特長は、通常の手術に比べ内視鏡手術のほうが傷が小さくて済むため、切開によるダメージを軽減させることができます。その結果、治癒までの期間を短縮し患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)を大きく向上させるというメリットもあります。
  日本では、1990年頃から導入され、内視鏡と組み合わせるCCDカメラの登場や、内視鏡下手術用の機器や装置などの技術開発が進み、急速に普及しました。なお、公的医療保険においては、1992年から徐々に、様々な部位の手術において適用されるようになりました。
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