Home > 医療・介護・相続等の現場 > 専門家に聞いた医療・介護の最新事情

第5回
―ソーシャルワーカーに聞く「緩和ケア病棟」―
病気による身体と心の痛みを軽減
終末期の患者だけでなく、家族のケアも行う
ファイナンシャル・プランナー/蓋INKS 代表 山田 静江
  日本の国民病とも言われる「がん」は、1981年以来ずっと日本人の死因の第1位の座を占めています。現在では、年間30万人以上、実に3人に1人ががんで亡くなっています。ホスピスあるいは緩和ケア病棟は、末期のがん患者の痛みを軽減し、穏やかな最期を迎えることを目的とした施設です。今回は東京郊外にあるS病院を訪問し、緩和ケア病棟とはどんなところか、どのようなケアを行っているかを、案内してくださったソーシャルワーカーのIさんにお聞きしました。
■ 1990年に、緩和ケア病棟入院料という診療報酬項目を新設
  緩和ケア(ホスピスケアとほぼ同義語)とは、WHO(世界保健機関)の定義によると「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、 心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、 苦しみを予防し、和らげることで、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)を改善するアプローチである」とされています。痛みや呼吸困難などの身体の症状を緩和するだけでなく、不安を軽減し人生を充実して過ごせるよう、心のケアを含めた総合的なサポートを行うことをいいます。以前は末期と診断されたら緩和ケアに移行するという考え方でしたが、最近では、治療と並行して緩和ケアも行うという考え方に変わってきています。
  日本で初めてホスピスとして認可されたのは静岡県浜松市にある聖隷三方原せいれいみかたはら病院で、1981年に開設されました。また、1990年には、公的医療保険の診療報酬に「緩和ケア病棟入院料」という項目が設けられ、緩和ケア病棟に入院している患者さんに対して、入院一日に付き○○円という包括的な診療報酬で、緩和ケアの治療を行うことが可能になりました。この頃から日本では、ホスピスケアではなく緩和ケアという言葉が使われるようになってきました。
  ただし、緩和ケア病棟入院料が適用されるのは、がんとエイズ(AIDS=後天性免疫不全症候群)の患者に限られています。がん患者のみ受け入れるという病院もあります。また、緩和ケア病棟に入院する前の時期(がんの治療中など)から、主治医と苦痛緩和や精神的支援を専門とする医師、看護師、薬剤師、リハビリテーションスタッフなどによる「緩和ケアチーム」により、緩和ケアを受けることもできます。
  診療報酬項目ができたことで、緩和ケアを行う病院や施設は少しずつ増えてきました。緩和ケア病棟については、1990年に5施設、合計ベッド数117床だったものが、2013年には300施設、合計ベッド数5,991床となっています(NPO法人日本ホスピス緩和ケア協会HPより)。
※ これ以降は会員専用ページです