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第3回
クリニックの承継B 〜個人開業の場合
(株)FPスピリット 代表取締役/CFP®・行政書士 鈴木 克昌
  今回は、個人開業のクリニックの相続・事業承継について解説します。
■ 遺産分割協議が調わないと、クリニックを承継できない
  医療法人経営と個人経営の違いは、基本的には、一般の事業における会社経営と個人経営の違いと同じです。
  医療法人経営のクリニック(出資持分あり)については、出資持分の相続という形で、間接的に不動産や医療機器など医療法人の保有する資産を相続します。また、理事長が亡くなっても、経営主体である医療法人自体は存続します。
  一方、個人経営のクリニックでは、不動産も医療機器も個人の所有ですから、それら自体がすべて直接相続の対象となります。クリニックの事業資金や事業用の銀行口座も相続の対象ですから、遺産分割の手続きを経て後継者が引き継ぐまでは、資金を引き出すことができません。すみやかに遺産分割ができず、口座が凍結された状態が長引けば、諸々の経費やスタッフの給与の支払いも困難になります。
  また、クリニックの経営者、すなわち開設者の死亡により、クリニックは廃業ということになり、後継者が引き継ぐ場合は、一旦廃業の手続きをした上で、新たに開業の手続きを行うことになります。このとき税務署や社会保険事務所への手続きが必要なのは、他の一般の事業と同じですが、クリニックの場合は、それに加えて保健所と厚生局へクリニックの廃止と新規開設の届出等が必要となります。
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