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新型うつ病(現代型抑うつ症候群・非定型うつ病)
株式会社ASSUME 代表取締役/査定医 牧野 安博
  ある若者からこんな話を聞きました。
  「体調が悪いのでお休みします」と言って、何日も会社を休んでいる同僚のブログを読むと「今日、お花見に行ってきました〜。満開できれいでした。楽しかったです(^^)/」と書かれている・・・。え?これってズル休みじゃないの?
  いいえ、これは「新型うつ病」かもしれません。
  近年、若年者にこの新型うつ病(現代型抑うつ症候群・非定型うつ病)が増えているようです。ちなみに「新型うつ病」とは医学用語ではありません。従来型の典型的なうつ病(メランコリー型)とは違うもの(=非定型・新型)として、特にマスメディアで使われています。今回は現代病の一つ、新型うつ病について解説します。
■ 疾病概念・原因
  従来型のうつ病といえば、自分を責め、継続的な激しい落ち込みにより意欲がわかず、責任感から会社へは無理をしてでも行こうと思いますが、遊びや運動をする気にはなれません。眠れず、食欲も落ちる、というのが一般的な症状です。
  一方、新型うつ病の特徴は、会社にいると気持ちが沈むけれど、休日になると元気になって好きなことを楽しめる気分となり、過食・過眠となる傾向がみられます。そして、うつ病になった原因は自分ではなく、職場・他人にあると考える自己中心的な性格が見られます。
  新型うつ病の原因の一つは、自我の形成の未熟さによりアイデンティティーが確立されていないことによるものと考えられています。核家族化・少子化により親が過保護となり、子どもに失敗させないようと先回りする結果、コミュニケーション能力が低いまま大人になり、傷つきやすい性格が形成されます。同世代の子どもや隣近所との関わりの減少、ネット社会、価値観の多様化もバックグラウンドの一つと言えるでしょう。
  その他、原因の多くは思考パターン、脳の構造的には脳内神経伝達物質の「セロトニン」のバランスが崩れて起こると考えられています。
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