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> 査定医が解説!注目の疾病と告知のポイント
麻疹(はしか)
株式会社ASSUME 代表取締役/査定医 牧野 安博
ここ数年、妊婦の麻疹(ましん・はしか)感染がニュースで取り上げられているのをみなさんも耳にされたことがあるかと思います。麻疹と言えば、おたふく風邪(流行性耳下腺炎)、水痘(水ぼうそう)と並んで、「ほとんどの人が子供のうちにかかる病気」というイメージがあると思いますが、近年、10歳代〜20歳代の若年者間で感染が多く確認されるようになっています。特に今年はハイスピードで患者が増えており、2013年通年で232人であったのに比べ、2014年4月30日現在ですでに300人の感染が確認されています(国立感染症研究所発表より)。
今回は、毎年春から初夏にかけて罹患者が増える、麻疹について解説します。
■ 疾病概念・原因
麻疹は、麻疹ウイルスの感染により引き起こされ、発熱と発疹を起こす急性感染症です。乳児は、生後6ヶ月まで母体からの受動免疫(抗体)により守られているため、麻疹ウイルスに感染しません。麻疹ウイルスは、感染力が非常に強く、感染者が近くにいると、ほぼ100%感染します。飛沫感染・空気感染・接触感染により広がり、感染すると95%以上の人が発症します。また、一度感染して発症すると、一生涯にわたり免疫が持続します。
■ 疫学・症状・経過
受動免疫がなくなった生後6ヶ月以降の小児、特に1歳代に多く発症します。かつては幼児の予防接種率が高かったことで大きな流行がなくなったのですが、最近の日本では接種率が低下してきており、幼少期に感染せず、予防接種も受けていない人が10歳代〜20歳代になって感染・発症するという現象が起きているようです。また、予防接種を受けた人の中にも、十分に免疫が得られずに発症することもあります。
麻疹ウイルスに暴露感染(ウイルスを持つ者から感染すること)してから発症するまでに10日程度の潜伏期間があります。おもな症状は、発熱・咳・鼻水といった上気道感染様症状に続き、口の中の両側頬粘膜に直径1mm程度の紅暈(こううん)を伴うコプリック(Koplik)斑と呼ばれる白色の粘膜疹が出現します。この時期を「カタル期」とよびます。その後、やや解熱傾向がみられた後に再び高熱が出て、同時に耳の後ろ・頸部から始まり顔面・体幹を中心に融合傾向のある発疹が出現します。この発疹は、色素沈着を残します。
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