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熱中症
株式会社ASSUME 代表取締役/査定医 牧野 安博
  「酷暑」「猛暑日」「異常気象」――これらがニュースで馴染みの言葉になってからどのくらい経つでしょうか。私が子どもだった頃の真夏の記憶では、日中は暑くてもスイカ・素麺・扇風機で何とかしのげ、夕方に庭や道路に打ち水をすれば夜には涼しくなり、窓を開けて寝ると明け方は少し寒くて風邪をひいたりお腹をこわしたりしたものです。
  7月は環境省によって「熱中症予防強化月間」と定められているそうですが、今年は早くも5月下旬に、関東の内陸部を中心に30度以上の「真夏日」となったところがあり、まだ暑さに慣れていない身体には随分とこたえました。
  今回は環境省の呼びかけに応じ、熱中症を取り上げて解説します。
■ 疾病概念・原因
  熱中症は、重症度と病態から熱けいれん・熱疲労・熱射病に分類されます。
熱けいれん:高温環境下でスポーツなどを行った後、使った筋肉がけいれんを起こしたり、手足がつったりします。水分不足の身体に塩分を含まない水分のみを補給して低ナトリウム血症に陥るために起こると考えられています。
熱疲労:大量発汗して水分補給が追いつかない時、身体が脱水状態になり、嘔吐、頭痛、全身の倦怠感などをきたします。
熱射病:高度の脱水、循環障害と脳浮腫、けいれん、髄膜刺激症状(吐気・嘔吐・頭痛など)がみられます。時折ニュースで耳にする高温の車内に子どもを残して起こる事故では、その子どもがこの状態に陥っていると思われます。
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