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加齢黄斑変性症
(かれいおうはんへんせいしょう)
株式会社ASSUME 代表取締役/査定医 牧野 安博
  STAP細胞騒動でマスメディア的には影が薄くなった感のあるiPS細胞(induced pluripotent stem cells人工多能性幹細胞)ですが、2007年に山中教授が人間の皮膚細胞からその樹立に成功してから7年、先日ついにヒトへの臨床試験が行われました。その第一症例目の対象となったのが加齢黄斑変性症という眼の疾患です。現在の技術でこの疾患を完全に治すことは難しく、また、安全性や視機能への影響など、今回の手術への評価が可能となるのは一年後の2015年9月とのことです。
  新しい治療法の実用化までにはもう少し時間が必要ですが、再生医療技術は日進月歩、あなたが老齢期を迎える頃には当たり前に行われる治療法になっているかもしれません。今回は加齢黄斑変性症について解説します。
■ 疾病概念・原因
  体の老化に伴い、眼も老化します。加齢黄斑変性症とは、年齢を重ねるとともに網膜の中心部にある「黄斑(おうはん)」に障害が生じ、見ようとするところが見えにくくなる病気です。
  黄斑は、眼の網膜の中心部にあり、視細胞が集中する最も重要な部分です。ものを見たり、色の判別を行ったりする重要な働きがあります。年齢を重ねると、網膜色素上皮の下に老廃物が蓄積されるようになり、これによって黄斑部に障害が起こります。また、網膜の外側には栄養血管に富んだ脈絡膜が外周を包み込むようにあり、黄斑変性はこの脈絡膜からの異常な新生血管が原因で生じる「滲出型」と、黄斑自体が変性してくる「萎縮型(非滲出型)」に分けられます。
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