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急性膵(すい)炎
株式会社ASSUME 代表取締役/査定医 牧野 安博
  12月も半ばを過ぎ、「忘年会で大忙し!」とはりきっている方もいらっしゃるでしょうか。それが過ぎればお正月、さらに続いて新年会。お酒を飲む機会が増えると思いますが、注意しないと膵臓が溶けてしまう病気、「急性膵炎」になってしまうかもしれません。昔、“食べる前に飲む”という胃腸薬の宣伝がありましたが、この疾病解説を“飲む前に読む”ことをおすすめ致します。今回は急性膵炎について解説します。
● 疾病概念・原因
  膵臓は胃の裏側にあり、消化液の一種である膵液を分泌しています。急性膵炎は、何らかの原因により、この膵液を出すスイッチが活性化され、その結果、大量に分泌された膵液が膵臓自体を溶かしてしまう病気です。アルコール多飲や過食を誘因とし、膵臓がみぞおちから左上腹部にかけて急激に激しく痛みます。
  急性膵炎の原因第一位はアルコールですが、一度に大量飲酒をしたから発症するわけでもなく、長年飲酒を続けた人が発症するわけでもありません。長期間にわたり、適量を超えるお酒を飲み続けている人が、ある日いつも以上に大量飲酒した場合に急性膵炎は起こりやすくなります。しかし、同じように飲んでも発症しない人もおり、どうして差が出るのかは不明です。
  アルコールを飲むと膵液は粘り気を増し、本来は膵臓の外で働く膵液が膵臓内に大量に溜まって膵臓を溶かしてしまいます。また、膵液が出ていく膵管と胆汁が出ていく胆管は、膵臓の中で合流して十二指腸に開口しているのですが、この合流した部分を胆石が塞いでしまうことで急性膵炎を発症する場合もあります。アルコール・胆石以外の危険因子としては、内視鏡検査、消化管手術、薬剤、高脂血症(中性脂肪)、HIV感染などが考えられています。
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