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農家・地主層の相続コンサルティング(1)
土地の評価手順について
FP EYE 澤田朗FP事務所 代表/日本相続士協会 理事 澤田 朗
■ 現地で実際に調査しないと正確な評価はできない
  今年の7月と8月に、農家・地主さんの相続案件が2件あり、筆者はいずれも相続発生後の財産評価のコンサルティングを行いました。本来ならば相続発生前にある程度財産の評価額を把握しておくことが望ましいのですが、今回は税理士さんの顧客案件で、生前には相続について特に対策等は行っていなかったということでした。相続発生後に行える対策は限られていますので、読者の皆さんはお客さまの相続発生前に機会をとらえて相続対策についてのニード喚起、財産評価の必要性の説明などをされるとよいでしょう。
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  今回のテーマである「農家・地主層の相続コンサルティング」において重要なのは、何と言っても「不動産の評価」となります。なぜなら、財産の大半が土地・建物で占められている場合がほとんどで、評価の仕方によっては相続税額に大きな影響が出てくるからです。そこで今回は不動産、特に土地の評価についてどのような手順で行うかをお伝えしていきたいと思います。
  まず行うことは、所有不動産が所在する市役所または町村役場(東京23区の場合は都税事務所)にある固定資産税・都市計画税の資産台帳(名寄帳)で、どこにどのような土地・家屋を所有しているかを確認します。こちらはほとんどの場合、お客様ご自身がお手元にお持ちですので、コピーをお預かりすれば良いでしょう。あわせて事前に入手できる書類等(公図・住宅地図・登記簿謄本・地積測量図等)を準備して、土地の利用区分や不整形地・広大地・セットバック・都市計画道路・高圧線の有無等(これらは土地の評価を下げることができます)について、ある程度把握をしておきます。
  次に、当該不動産の下見・現場調査です。実際に足を運び、公図・住宅地図・登記簿謄本と照らし合わせながら、それぞれの土地について地形・接道する道路幅員・実際の利用状況・境界標の有無等を確認していきます。
  ちなみに、前述の案件では利用区分が17にわたり、公簿地積の合計が約6,000平米もあり、下見だけでもまる1日かかりました。加えて夏の炎天下を歩き回ったので、熱中症気味になってしまいました。夏の現場調査には帽子・タオルが必須アイテムです。また、草むらや茂みの中に入ることもありますので、白っぽい服装・歩きやすい靴・虫よけスプレーの準備も必要です。
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