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農家・地主層の相続コンサルティング(2)
相続(税)対策としての生命保険提案
FP EYE 澤田朗FP事務所 代表/日本相続士協会 理事 澤田 朗
■ 相続(税)対策に生命保険が有効なことをお知らせする
  農家や地主の方、言い換えれば不動産オーナー・土地資産家の方にとっての相続コンサルティングではじめに行うことは、「現状分析→財産評価の圧縮・初期対策」であり、前回お伝えした土地評価のお話はまさにこの部分に当たります。
  不動産をはじめ預貯金・有価証券、さらには債務まで、相続財産の把握・現状確認を行った後に、不動産の部分に着目をして、評価額を下げて相続財産を圧縮できるかどうかを試算します。土地評価は相続発生後でも行うことができますが、できれば相続発生前に評価額を把握して、生前にどのような対策ができるか、時間をかけて考えることが必要となります。
  現状確認を行うことで保険に加入をしているか、どのような保険に加入をしているかどうかも把握できますので、このタイミングで生命保険の提案を行うことも可能です。
  一般に農家や地主の方の財産はほとんどが不動産で占められていますので、万一の際は不動産の一部を売却して遺族の生活資金や相続税の納税資金にあてればいいと考えていらっしゃる方が多く、また、生命保険嫌いの方もかなりいらっしゃいます。そのため生命保険の非課税枠を活用していない方が意外といるのです。
  また、被相続人となる方(以下、被相続人)が一時払いの終身保険などに加入することによって、仮に保険料≒保険金であっても課税対象である財産の一部(現金)を非課税財産となる生命保険金に移し替えることができますので財産評価の圧縮を行うことができます。また、生前贈与(保険料贈与)を活用して相続人となる方(以下、相続人)が保険契約をすることで、相続財産を減らすとともに、相続人が一時所得で保険金を受け取るメリットを活用できる方法も考えられます。
【契約形態】
契約者 被保険者 受取人
相続人(子) 被相続人(親) 相続人(子)
  このように相続税の納税資金準備のための保険活用が提案できますが、農家や地主の方の中には生命保険に対して「食わず嫌い」のところがありますので、生命保険金は相続人固有の財産であることなども含めてご説明する必要があります。
  ただし、財産のほとんどが不動産で占められている場合、現状確認の段階では保険料に充てられる原資が少ない場合が多いですが、できる対策については実行すべきだと思います。この段階では非課税枠を活用しているか、保険料贈与を活用した保険加入ができるか、納税資金準備として保険が活用できるか、といった点がチェックポイントになると思います。
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