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多発する「住まない実家」の相続
1月からの相続税改正に備えて事前対策を
FP EYE 澤田朗FP事務所 代表/日本相続士協会 理事 澤田 朗
■ 「住まない実家」は小規模宅地等の特例が使えない!
  前回までは不動産オーナーや土地資産家の方の相続コンサルティングについてお伝えをしました。このような方にとっての不動産は収益を生む資産が大半を占めますが、相続税評価額が高額になるケースが多いため、被相続人になる方(以下、被相続人)が生前に調査をしたうえで、評価額の圧縮・売却・有効活用等の対策を検討していきます。この不動産の中には当然、実家(自宅)も含まれていますが、推定相続人(以下、相続人)の中の誰かが後を継ぎ、相続発生後に実家を売却するケースはほとんどありません。
  一方、一般のご家庭、言い換えれば収益物件となる不動産を保有していない、実家くらいしか土地・建物がない被相続人の場合は、相続発生後に売却の対象となるケースがあります。被相続人に配偶者がいる場合(一次相続)にはそのまま住み続けることが多いですが、配偶者が両方亡くなり相続人が子だけ(二次相続)で、すでにそれぞれがマイホームを購入しているケースでは空き家となった実家に代わりに住む者がだれもいないことになり、「住まない実家」を相続することになります。今回はこのようなケースではどのよう問題が出てくるのか、事前にどのような対策を立てることができるのか、といったことをお伝えしたいと思います。
 【問題点】
  1.「小規模宅地等の特例」の適用が受けられない
  2.相続税評価額が高額になり相続税負担の発生または税額の増加
  3.実家以外の財産が少額で相続人が複数の場合、遺産分割で揉めるケースも
  上記1番、2番については、誰も住まない実家は「小規模宅地等の特例」の適用が受けられませんので、相続税評価額が思いのほか高額になることが考えられます。他の財産と合わせて相続税の基礎控除額を超える場合には相続税の負担も発生しますので、納税資金の準備も必要となります。来年1月の相続税改正後は、例えば東京23区内の駅から近い一戸建てを相続した場合、小規模宅地等の特例が使えないと基礎控除額を超えるケースも多くなると思います。
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