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クライアントの土地が「地籍調査対象地域」
に指定されました
FP EYE 澤田朗FP事務所 代表/日本相続士協会 理事 澤田 朗
  この記事をお読みになっているあなたは「地籍調査」という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。一人一人に「戸籍」があり、両親はもちろん祖父・祖母やその上の世代にどのような婚姻等がなされ、それによって自分が今ここにいるのかを確かめることができるのと同様に、土地に関してもそれまでの所有者の名前や売買の履歴等、現在までのいきさつを知ることができます。ただ戸籍と違い土地というのは、現在までの経緯のほかに土地そのものの「地積」が大きく関係してきます。「戸籍」には身長・体重等は記載されていませんが、土地に関しては登記簿謄本にその「大きさ」が記載され、その「地積」の大小によって色々な場面で様々な影響が出てくることになります。今回はこの「地籍調査」についてお伝えします。
■  誰でも入手・閲覧が可能な「地籍」
  先日クライアントから「ウチの土地が地籍調査対象地域になりました」と連絡がありました。都心への利便性が良い神奈川県の郊外に800平米超、約250坪の土地をお持ちの方で、ご自宅の他、現在は駐車場を経営されています。現在の土地の所有者はクライアントの母親で、以前より母親が亡くなった時の相続対策についてご相談をいただいていました。
  ここであらためて「地籍」とは何かをお伝えします。それぞれの土地(一筆)ごとに地番(住居表示とは別に設定されています)・地目(宅地・田・畑・山林など、土地の用途により分類されています)・地積(その土地の面積)や所有者に加えて、これまでの所有者の変更や分筆(一筆の土地を二つ以上の土地に分けて登記しなおすこと)等の履歴が法務局に登記簿謄本として保存されています。土地に関する「戸籍」にあたるもので、誰でも入手・閲覧が可能でその土地の「地籍」を調べることができます。
  つぎに、なぜ「地籍調査」を行うのかをお伝えしたいと思います。現在、法務局にはそれぞれの土地の情報が登記簿と一緒に図面や地図として保存されています。登記簿には地積のほか、所有権や抵当権の設定履歴等が残されています。図面や地図については測量士や土地家屋調査士が確定測量を行ったものや公図等も保存されていますが、明治時代に行われた地租改正の時に作成されたものがそのまま残っているものも多く、境界や地積・地形等が現状とは異なっている場合が少なくありません。このような古い情報を修正し、現状の状態にそって登記をし直すのが地籍調査となります。
  調査はおもに市区町村等の地方自治体が主体となって行われます。調査にかかる費用負担は国が半分、残りの半分を都道府県と地方自治体が負担するのですが、特別交付税の対象となり、実際に地方自治体が負担をするのは費用の約5%となっています。これら土地調査にかかる費用を土地の所有者に負担を求めることは無く、費用がかからずに土地の境界確定を行えるメリットもあります。
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