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広大地とは何か? あらためて確認してみる(その2)
FP EYE 澤田朗FP事務所 代表/日本相続士協会 理事 澤田 朗
  今回は、フローチャートの4つの評価項目の復習と実際に争われた事例を紹介します。
■  4つの評価項目
  まず、前回ご紹介したフローチャートの4つの評価項目をもとに広大地に該当するかしないかを判断します。
 大規模工場用地に該当するか
  近隣に工場等が立ち並ぶ地域の土地でない限り該当しませんので、判断は難しくないと思います。
 マンション適地か、又は、既にマンション等の敷地用地として開発を了しているか
  「マンション適地」つまり高い建物を建てることに適している土地かそうでないかという判断をする項目です。高い建物を建てられる土地というのは容積率が高い土地かどうかを確認する必要があります。
  容積率が100%・150%の土地については、マンション適地に該当することはほとんどありません。また容積率が300%以上の地域の土地であれば原則として「マンション適地」に該当します。
  容積率が200%以上300%未満の地域が一番判断が分かれるところで、該当地に接道する道路幅員や土地の形状(地形)、ここ最近の周辺の開発状況(マンション開発か戸建開発か)等を確認したうえで広大地に該当するかを判断することになります。道路幅員と容積率の関係ですが、幅員12m未満の場合には道路幅員による容積率の制限があります(建築基準法第52条第2項)。
  計算式は住居系の地域とその他の地域によって違いがあり、下記のとおりとなります。
住居系:道路幅員による容積率(%)の上限=前面道路幅員(m)×40(60)
その他:道路幅員による容積率(%)の上限=前面道路幅員(m)×60(40又は80)
※カッコ内の数値は特定行政庁が指定する区域の数値となります。
  例えば、「第2種中高層住居専用地域」で容積率(指定容積率)が300%であっても、接道する道路幅員が4mの場合には、4m×40=160、道路幅員の制限による容積率は160%となり、このどちらか小さいほうの数値が該当地の容積率(160%)となります。このような地域にある土地は広大地となる可能性があります。
  なお、以前はマンションの建築が多かった地域でも、ここ最近は戸建の開発が多いというケースでは、広大地に該当するかどうか微妙な地域の土地については道路幅員と容積率の確認のほか、周辺の最近の開発状況やマンションの建築時期の確認は必須となり、現場調査や役所調査等を行い、総合的に判断していくことになります。
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