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相続税における「更正の請求」の手続きと内容について
FP EYE 澤田朗FP事務所 代表/日本相続士協会 理事 澤田 朗
  今回は、相続税における更正の請求手続きの概要や流れについてお伝えしていきます。
■  100億円以上を遺した被相続人は8人
  国税庁が発表した平成26年分の相続税の申告状況によると、亡くなった方は1,273,004人、そのうち相続税の申告書(相続税額があるもの)の提出に係る被相続人数は56,239人、相続税がかかる財産を持っていた被相続人の割合は4.4%となっています。この割合は例年と大きな変化はありませんでしたが、平成27年より相続税の基礎控除額が縮小されたため、今後、この割合がどのくらい増えるのかが注目となります。毎年12月には前年の統計が発表されていますので、今年末には相続税法改正後初めての統計結果がわかることになります。
  また、申告状況の概要のほか詳細な統計も発表されています。例えば納付税額の総額は約1兆3,900億円、被相続人1人あたりの納税額は約2,400万円、課税価格がいくらの被相続人が何人いたかをまとめた「課税価格階級」等も掲載されています。ちなみに課税価格100億円以上を相続人に遺した被相続人は8人、その方たちの相続人が納めた相続税の総額は約640億円となっています。このように一般市民には全く縁のない数字も並んでいます。
  さらにこの統計の中に、「還付税額」という金額も掲載されています。納付税額約1兆3,900円に比べれば約17億円と少ない金額ですが、700人弱の相続人が税金の還付を受けています。相続税をはじめ、所得税や法人税、消費税や酒税など、それぞれの税について「更正の申出」「更正の請求」を行うことで、(計算違い等で税金を多く納めた場合等に)払いすぎた税金が「還付金」として戻ってくることになります。
  相続税の場合は「更正の請求」手続きを行い、その内容が認められれば納めた税金の一部が戻ってきます。なお、還付税額の中には、更正の請求によって戻ってきた金額も含まれています。
  では相続税の場合、どのようなケースで更正の請求が行われることが多いのでしょうか。読者の方はおおよその想像はついていると思いますが、相続財産の中の土地についての評価額が適正でなかったため、その分相続財産全体の評価額が大きくなり、相続税も多く払っている場合に請求が行われるケースが多くなっています。
  今回は、我々相続コンサルティングに携わる者が、お客様からの依頼を受けて相続税における更正の請求手続きをサポートする際の概要や流れについてお伝えしていきます。
参考  : 国税庁「平成26年分の相続税の申告状況について」
参考  : 国税庁平成26年分の相続税の申告状況について(統計表)
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