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元妻との間に子どもがいたなんて!
亡き夫の財産をめぐって“争続”に発展
佐川京子行政書士事務所 代表/ファイナンシャル・プランナー 佐川 京子
夫が亡くなると、家族が知らなかった相続人が突然現れて、遺産相続の権利を主張してくる――これは“修羅場”になることが予想される事態です。権利を主張してくるのは、非摘出子、または、元妻の子どもが考えられます。そして、相続の権利は、民法の改正によって、非嫡出子も元妻との子も、子の相続分と変わりません。しかし、遺された家族にとっては、全く予想していなかった“相続人”の存在は感情的に納得のいかない、そして、しこりの残るものになります。
■  突然やってきた見ず知らずの夫の子ども
  定年を迎えた夫とこれからの生活を夫婦水入らずで楽しく過ごそうと計画していた並木美保さん(仮名・53歳)が予期せぬ悲しみに襲われたのは、冬の気配を感じるようになった11月の中ごろでした。
  夫の並木隆さん(仮名・60歳)が、くも膜下出血で亡くなったのです。予兆はなく、あっという間の出来事でしたので、美保さんは気持ちの整理がつかないまま、子どもたちに支えられ、やっと葬儀を執り行うことができました。
  悲しみにくれていた美保さんでしたが、四十九日の法要をなんとか無事に終え、納骨を済ませたことで、少しほっとしていました。そして、夫の遺品を整理しようかと思い始めていたある日、夫の子どもだと名乗る人が訪ねてきました。事前に何のアポイントもない訪問でしたのでびっくりしましたが、追い返すわけにもいかず、家にあがってもらい話を聞くことにしました。
  夫の隆さんが美保さんと結婚をする前に離婚していたことは知っていましたが、双子の子どもがいることは、その人から初めて聞きました。そして、自分たち双子も隆さんの子どもなのだから相続人として財産を分けてほしいというのです。
  どこで隆さんが亡くなったことを知ったのかはわかりませんが、急なことで夢を見ているのではないかと思い、美保さんは子どもに相談をしました。そして、元妻との間に双子の子どもが本当にいたのかどうか夫の戸籍を調べてみると、それは事実でした。美保さんは、どうして、生きているときに話してくれなかったのかと、夫を責める気持ちでいっぱいになりました。
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